日経エレクトロニクス雑誌ブログ

デジタル家電化する医療・健康機器

記事にコメントする
コメントを読む
ソーシャルブックマークに追加する
この記事にタグを付ける
記事のタイトルとURLを入れたメールを作って,知人に紹介する
後からこの記事を見られるように保存する
2006/08/30 11:18
小谷 卓也(日経エレクトロニクス)

 「医師が,聴診器の代わりに超音波診断装置を使う時代が来ますよ」――。2006年春に足を運んだ医療機器関連の展示会で,ある医療機器メーカーの担当者から聞いた言葉です。

 2005年9月12日号の特集「メディカルで種まき」を担当した私は当時の取材で,数ある画像診断装置の中でも超音波診断装置が最もエレクトロニクス技術の進歩の恩恵を受けると聞いていました。その超音波診断装置に大きな動きがあるのなら,エレクトロニクス業界にとって無関係な話ではないだろう――これが,最新号の特集「医療・健康を攻める」を企画したキッカケでした。

 実際に取材してみると,確かに超音波診断装置はその応用範囲を大きく広げようとしていることが分かりました。特集記事の中で紹介した幾つかの事例のほかにも,最近では,乳がんを診断する用途への本格応用も期待されているようです。

 超音波診断装置の盛り上がりは,機器を開発するメーカーが急増していることからもうかがえます。特に中国では,以前は数社程度だった参入メーカーが,ここ数年で100社くらいにまで増えたそうです。さながらデジタル家電をほうふつとさせる様相です。

 医療・健康機器がデジタル家電化している――。この表現は,あながち間違いではなさそうです。超音波診断装置にとどまらず,医療・健康分野の機器やサービスには,従来とは違う顔ぶれのエレクトロニクス・メーカーが参入し始めています。さらに,参入には至っていなくても,虎視眈々と参入機会をうかがうメーカーが多いことも今回の取材で分かりました。

 その大きな背景となっているのが,医療・健康の「情報化」です。具体的には,医療分野では電子カルテや遠隔医療などを普及させることで,病院と診療所,あるいは家庭との連携を図り,効率の良い医療体制を構築する動きです。一方の健康分野では,家庭で測定した個人の健康データを体系的に管理して病気の予防に生かす基盤を構築する動きです。これらは,内閣府が2006年7月末に発表した2006年以降の重点施策「重点計画−2006」の中で,最優先に位置付ける「ITによる医療の構造改革」による後押しで一層加速するとみられています。つまり,医療・健康分野ではデジタル化が進むことに加え,対象となる市場が病院から家庭へと広がる動きが進展するのです。

 医療・健康分野のこうした動きには,従来の参入企業とは異なるノウハウが求められます。特に,エレクトロニクス・メーカーがデジタル家電分野などで培った技術を応用できる可能性が大いに高まるのです。今回の取材で医療機器業界を取材したときに,必ずと言っていいほど「電子技術雑誌で今,医療・健康の分野を取り上げるのは当然」との反応が返ってきたことからも,そのことがうかがえます。

 ただし,こうした状況の変化に目の色を変えているのはエレクトロニクス・メーカーだけではないようです。「政府が情報化を後押ししようとしていることから,医療・健康の情報化に関する研究や実証実験を先行して進めてきた大学病院の教授などは今,予算を確保しようと必死に駆け回っている」(ある医療機器メーカー)といいます。確かに,私が取材でお会いした大学病院の教授は皆さん,非常に精力的に活動されている姿が印象的でした。こうしたことからも,医療・健康分野で起きようとしている変化の予兆を実感できました。

この記事は参考になりましたか。※数値は、投票数を示しています。

とても参考になった
まあ参考になった
ならなかった
投票総数:36
記事中に誤りなど,編集部へのご連絡にはこちらの入力画面をお使いください。編集部へのご連絡

最新号

2009年11月16日号
11月16日号から
特集

技術者サバイバル

「会社に残ってもやることはないし,今辞めないと割増金は出ないよ」。今年50歳になるAさんは,会社からこう切り出された。・・・ (続きを読む

定期購読のお申し込み 最新号を一冊買う

購読者限定記事ダウンロード

日経エレクトロニクスPremium定期購読者の方はこちら
日経エレクトロニクス定期購読者の方はこちら