シリコンバレーでの「分解」にみる技術者の好奇心
シリコンバレーでの「分解」にみる
技術者の好奇心
「開きましたよ」−−。マイナス・ドライバーとカッターナイフを手に15分ほど黙々と作業をしていた技術者の方が,嬉しそうに小さな声を挙げました。米Apple Computer, Inc.と米NIKE, Inc.が共同で展開する「Nike+iPod Sport Kit」を分解していた時のことです。
日経エレクトロニクスでは時折,取材活動を通じてお世話になっている技術者の方の協力を仰いで,話題のエレクトロニクス機器を分解して誌面でご報告しています。写真や活字では実物を手に取るのに比べておのずと限界がありますが,少しでも有用な情報を伝えたいという思いからこうした企画に取り組んでいます。今回はその対象として,Nike+iPod Sport Kitを取り上げました。Apple社とNike社という意外性のある組み合わせや,人気の携帯型音楽プレーヤ「iPod」の周辺機器といったことから白羽の矢が立ったというわけです。
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| 「一見したところセンサ・モジュールの方が,筐体を開けるのが容易そう」(分解を手掛けた技術者)−−との判断から,センサ・モジュールの分解から始めた。筐体を開けると,基板とセンサ素子,ボタン型電池が現れた。ボタン型電池の寸法が最も大きく,全体の約6〜7割を占めている。 |
「筐体の寸法にもApple社のこだわりを感じますね」
「この部品はコストがかさんでいますよ」
「29米ドルという低価格でも手は抜いてない。意外なほどしっかりした構成だ」
「でも類似製品と比べると,やはり低価格に抑えていますね」
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分解は資料を調べて部品を特定したり,議論をしたりしながら進みます。そうこうしているうちに当初の想定時間を大幅にオーバーして,約3時間も経過してしまいました。それでも最後に「充実した時間でした」との感想を頂きました。
今回に限らず,分解作業にご協力して頂いた技術者の方から「充実した」「楽しかった」といった言葉を受け取ることが少なくありません。業務から外れた作業をお願いしているわけですから,当初は意外に感じました。もちろん自分が関わっている製品(部品や機器)と比較する有益な機会になるというのも,分解に積極的に関わってくださる理由の一つでしょう。ただしそれ以上に「いったいどうなっているのだろう?」という好奇心が分解の魅力の原点にあるのかなと,今回の分解作業を通じて改めて感じた次第です。
なおNike+iPod Sport Kitの日本市場への出荷は,2006年9月から始まる予定です。今回は,一足先に出荷が始まった米国で製品を入手し,作業を進めました。弊社は米国シリコンバレーに支局を構えています。本企画は支局に駐在する日経エレクトロニクスの2名のスタッフ,すなわちPhil Keys記者と,2006年7月に日本の編集部に戻った蓬田宏樹記者の後任となる私の2名で担当しました。
シリコンバレー支局では過去,家庭用ゲーム機「Xbox 360」や携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の分解なども手掛けています(日経エレクトロニクス分解班の特設サイト)。私以降は3カ月〜4カ月ごとに日本から記者を派遣し,交代で駐在する体制を敷きます。常駐しているPhil Keys記者と共に,地の利を生かして米国で得た新鮮な情報を日本に届けていきます。今後もご期待頂ければ幸いです。



















