我が輩は主婦である
家人は自他共に認める機械オンチです。拙宅では切れた電球を交換したり,家人が見たい番組を聞いてDVDレコーダーの録画予約したりといった電気と機械に関する作業は,すべて私の担当ということになっています。こないだの休日は家人が最近,楽しみにしている宮藤官九郎脚本の昼ドラ『吾輩は主婦である』の録画をせっせとDVDに焼いてHDDのスペースを空けるので半日がつぶれました。面白いのでつい見てしまったせいもあるんですが。
家人に関しては,EPG対応のDVDレコーダーを予約する程度がなぜできない? と哲学的な疑問を感じることもありますが,このくらいなら楽な作業なのでまぁ良い。それより解せないのは,どうやら家人に「メンテナンス」という概念が欠落しているらしいという点です。
私はもともと理系ですし,機械いじりは子供の頃からの趣味の一つなので,「定期的にメンテナンスしない機械は不調になる」というのは一般常識の範疇です。早めのメンテナンスが機械の寿命を延ばすことも知っています。サイクロン掃除機やエアコン,ファンヒーターなどのフィルターを定期的に清掃したり,消耗部品を交換したりといった作業は面倒だけど「仕方のないこと」と思っていました。この辺りの感覚はTech-On!読者の方も共通するのではないでしょうか?
しかし家人の考えは違います。このブログの以前のエントリーでも書いたことがありますが,家人は我が輩主婦(今作った言葉です,すいません)なので「女の人は機械が苦手なんだから,メーカーがメンテナンス・フリーに作るべきなのだ」と考えています。そう考えるのは自由ですが,実際にその通りに一切メンテナンスせずに,不調になるまで使い続けるので困ります。尻ぬぐいするのは私だからです。なぜ早めにメンテナンスしなかったのか問いただすと,くだんの我が輩主婦は「やろうと思っていたが忙しいから後回しにしたのだ」と反論する。しょうがないなぁ。やれやれ。
ただ,こういったやり取りを何度か繰り返すうち,家人の言い分ももっともだと思うようになりました。きっかけの一つは拙宅の洗濯機です。この洗濯機には洗剤や柔軟剤を自動投入する機能があるのですが,この投入口の扉がしばしば固着して開かなくなるのです。洗剤や柔軟剤の成分が開閉機構に詰まるせいです。もちろん,そうなった場合は私の出番です。清掃するために投入口周りを全部分解する羽目になります。あぁめんどくさい。
投入口の定期的な清掃を普段から行っていればこんなことは起こりません。実際,マニュアルにはそうするように記載がありますが,どれくらいの周期,あるいはどういう状態になったら清掃すべきかまでは書いていません。それでも私が洗濯機の利用者なら,不調の兆候を察知して先にメンテナンスしたでしょう。その方が全部分解するより楽だしね。洗濯機の設計者やマニュアルの執筆者はユーザーにそれを期待したのではないかと推察します。
ですが,家人のような人間にそれを要求するのはどうやら酷なのです。彼らにとって「メンテナンスの必要性」は一般常識ではありませんから,不調の兆候を察知するなんてできないのです。「まだ使えるからいいのだ」とメンテナンスを後回しにしているうちに,結局,投入口が開かなくなることになります。そして,家電の利用者の半分以上は,家人のような機械が苦手な「我が輩主婦」なのです。
「フィルターを自動清掃するエアコン」が売れているそうです。先行した富士通ゼネラル,松下電器に続き,ことしは各社が同種の機能を搭載してきました。この機能は,今後エアコンの標準機能になっていくと思います。ごく一部の例外を除けば,エアコンのフィルター掃除というメンテナンスが無くなって悲しむ我が輩主婦はいません。
技術者のみなさんは今,「お掃除エアコンの次」を探しておられると思います。そのときに,「機械にはメンテナンスが必要」という理系の常識をちょっと捨ててみたらいかがでしょうか。「我が輩主婦の眼」で家電を見直せば,まだまだ改良のタネは転がっているように思います。例えば,洗剤投入口の扉とか。
■自分は,やはり,メンテナンスが出来るようにしておいて欲しいです。
メンテフリーのはずで蓋があかない…のに,動作がおかしいなんてこともあります。また,他の人が言われていたように,コストの問題も気になります。夫婦どちらか,もしくは子供でも,メンテが出来るなら,その分のコストは圧縮したいところです。
ちなみに,自分も男で,機械・電気系のメンテは比較的苦になりませんが,物を置きっぱなし,片付けない…己のメンテがなってない…が,ウチの奥さんの主張です。(2006/06/13)
■先日,包丁を研ぎました。「なんでそんなことをするの?」と詰問されました。「研ぐといっても,鑢(ヤスリ)でなでる程度」が常識らしいです。
物を大事に使うとか,メンテナンスするとかと関係なく,「包丁=切れる」「掃除機=吸える」「洗濯機=洗える」「排水溝=水が流れる」etc…というように,途中の構成要素は一切関係なく,「物=機能」として身についている模様です。自転車や車の運転で「カーブを曲がるときに,アクセルやブレーキで速度を加減してハンドルを切る」事は,「ハンドル=曲がる」に反する事態のようです。
どうしてそれが必要で,それをすることでどのようなメリットがあるかを丁寧に教えれば,相手も理解してくれます。しかしながら,「どうしてそれが必要かを説明できる人」と,「それを聞こうとする態度を持っている人」と,「説明+理解+行動にかかる時間と手間に対するメリット」この3者の在り方を考えると,メンテナンスって面倒ですね。(2006/06/07)
■メンテナンスフリーは,機械を作る人達にとっては重要な項目で,それに取り組んできています。実際,プリンター関係は,メカ部分が非常に簡素化され,調整部分は少なくなっていますよね。他にも例はいくらでもあります。
エレキ化した時にマイコンがいろんなことが出来るために,今までになかった機能を取り込んで来るから,なかなかメンテナンスフリーへ到達出来ないのではないかという気がします。以前の機能の範囲であれば,メンテナンスフリーで取扱いの楽な製品が沢山出来たでしょう。これも,物つくりの一つの方法として重要だと思うのですがね。
エレキ化してきたので,チョッとしたチェックや修理が,だんだん素人には手を出せなくなってきてもいますね。
もう一つ,HDDからDVDへダビングされたようですが,私もラグビーのシーズンが終わるとその作業をします。そこで感じるのは,リモコンでの作業の手が掛かるというか,面倒というか,煩雑というか,これをもっと簡単にして欲しいですね。ネットワークで繋いで,パソコン側から操作できるように,早くして欲しいものです。(2006/06/07)
■我が家のパートナーは「電気製品にはマニュアルは不要」という主義で,「全て感覚でわかる」のだそうです。パソコンもこの主義で「挑戦する」と言い出しました(恐ろしい)。従って,定期的メンテナンスなど,全く念頭にありません。義母も全く同じで,留守電のメッセージが満杯になったら,留守録をやめてしまいました。削除の仕方を知らないようです。HDDレコーダでも似たような例があるのではないでしょうか。
今後の機器には,最低限必要な操作を音声で利用者に催促する(つまり悲鳴を上げる)機能が必要かもしれません。(2006/06/07)
■電化製品を欲しがるし,使うくせに,メンテナンスは眼中外というのは,脱いだ靴下は床の上,食べた食器はテーブルの上,家事は眼中外,というのと似てるのかな,と思いました。片や妻,片や夫なら,バランスかな。(2006/06/06)
■私は,家電はメンテナンスフリーが望ましいと思っています。極論すれば,「叩けば直る」程度が理想です。しかし,(設計者として)それは難しいと常々,思います。
昨今に限りませんが,コンシューマ向けの製品では,メンテナンスの必要性と寿命に関して,情報が不足しているように思います。設計の際は製品寿命を設定しますが,ユーザはそれを意識して使用しませんし,説明書にも明記されていない場合が多いです。
もし,これらが明確であったら,松下の石油暖房機の事故は防げたのではないかと思います。(2006/06/06)
■女性です。技術系です。数年前にマンション買いました。
「メンテナンスはすべきもの」と普通に(と,当時は思いました)考え,マニュアルにある通りに作業しようとしました。
1.換気扇:フィルター交換するところからファンを取り外せるタイプではなかった(この時点ですでにやりにくい・メンテナスのしやすさを考えていない設計)ので,上部のカバーを外してクリーニング。いざカバーを戻そうとしたところ,戻せない。隣の棚が邪魔なのです。つまり,建築時には,換気扇組立→食器棚の設置でできたのに,現在は棚が邪魔になっているのです。化粧板が接着されていて,重くなっているから,なお大変。マンションのアフターサービスの人には「この人は何でこんなことをするんだ?」という目で見られました。
2.風呂場:「3ヶ月に1回はカバーを外して掃除して下さい」というシールが貼ってあるので,やってみました。こっちは出入口のドアに阻まれてはずしにくい,はめにくい。裏面にクラックがあったので交換してもらったのですが,このときは施行会社とメーカーの人に「なんでこんなことやるの?」と言われました。だって書いてあるのに…
3.風呂場の排水溝:こちらは1ヶ月に1回だったか,メンテナンス周期が指定されています。でも,年に1回マンション全体で頼んでいる清掃業者には「ご家庭の皆さんには蓋をあけての清掃はされなくて結構ですからね」と言われました。
一般の電気製品ではありませんが,ことごとく「メンテナンスなんかしようとするな」と言われつづけたような気持ちです(久々に思い出し怒り…)。「メンテナンスしましょう」と書いておけば,「不具合があったときの免罪符になる」と思ってるだけなんじゃないの!!! と勘ぐりたくもなりますし,世の中の多くの人(主婦だけではない,と私は断言したい)は,「メンテナンスはプロがするもの」と考えているのかな,と思えますし,設計者はメンテナンスのしやすさをどこまで考慮して設計しているの? と疑問に感じます。
使い捨て文化から脱却するには,「メンテナンス文化」を育てる必要があると思います。家庭用品だけでなく,工場の装置も含めて,修理しながら長く使ってもらえるような製品の登場に期待します。
(2006/06/06)
■私も理系ですので,昔は苦にならないことが多かったのですが,この頃は様子が違ってきました。
メンテのみでなく,使いこなす機能が増えた製品が多すぎます。テレビ,ビデオ,パソコン,電話,携帯電話,ネット,炊飯器,冷蔵庫,レンジ… 皆が個性的です。買い替えや周辺機器の買い足しなどによる接続のし直しや,セットアップ… おおいに時間を要しますし,時には家内にあたることもあります。
でも,それらの原因の始まりの多くは,老眼が進んできて視点を変える作業がし難くなった自分に原因があることも,薄々は感じている自分です。
(2006/06/06)
■「我が輩主婦」の方々のお陰で,メーカは儲けられるのでしょうね。
メンテナンスフリーでない機器を荒く使えば(修理はするにせよ),機器の寿命は短くなって頻繁に買い換えてもらえますし,メンテナンスフリーが実現できたなら,それはそれで高くても買ってもらえそうです。
ただ,作る立場からすると,もうちょっと大切に使って欲しいと思わないでもありません。自分の作ったものがぞんざいに扱われるのは,少々寂しいものです。「メンテナンスフリーに作って」という言葉は,作り手に対する期待に他なりませんから「頑張ろう」と思いますが,それはそれとして,「今のものはそのように出来ていないので,大切に使ってね」とお願いしたいのも事実。
「女性は機械に疎い」とは良く聞きますが,対象物のちょっとした変化に目ざといのは,むしろ,女性ではないかとも思います。子供の顔色がちょっといつもと違うのに気付くのは,大抵は父親でなく母親ですよね。そんな気配りをちょっとだけ機械にも向けて欲しいというのは,高望みでしょうか‥‥。(2006/06/06)
■車用のワックスで,酸化チタンを配合させ,自浄作用があるものもありますよね。そのようなメンテナンスフリーという設備も,今後,増えていくと思います。人間は楽を追及するものなのですから。技術者にとっては,今のところ,難しい問題ですけどね。(2006/06/06)
























