終わりなき価格競争から抜け出すために
終わりなき価格競争から
抜け出すために
「インターネット家電」と聞くと,大半の人は「ああ,そんなものもあったねえ」といったような反応を示すのではないでしょうか。インターネットテレビ,インターネット電子レンジ,インターネット冷蔵庫・・・。いずれも一時の話題にはなりましたが,製品として成功を収めることはできませんでした。
しかし,インターネット家電は決して死んではいません。恐らく,これから数年の間にさまざまな新しい試みが登場し,近い将来,Webサービスと連携した「Web家電」なるものが,当たり前の存在になる可能性もあると思います(詳細は日経エレクトロニクス6月5日号の特集「Web家電の夜明け」を参照)。
こう考える背景には,ブロードバンドの普及など通信環境がかなり整備されたことはもちろんですが,デジタル家電では機器の性能や機能だけで他社と決定的に差異化するのが難しくなっている現実があります。
この状況を変える有力な手段がWebサービスというわけです。まだ成功例は数少ないですが,米Apple Computer,Inc.の音楽ビジネスがそれを証明しています。最近では家電メーカーの技術者から,「将来を展望すればインターネットとの連携は必須になる」「Webサービスと家電の融合は自然の流れ」といった声も聞かれるようになってきました。
他人のふんどしを借りる
もっとも,現実にWebサービスを機器とどう連携させればいいのか,一定の解はありません。連携させることで新たな付加価値を提供できそうな事は分かっていても,いざやろうとするとなかなか難しいのです。
家電メーカーのある技術者は,「単に機器をインターネットにつなぐだけではダメだし,かといって自社が編集したコンテンツを提供するだけでは,インターネットの進化のスピードについていけない」と,その難しさを語ります。
Web家電が成功するためのポイントの一つは,「他人のふんどしを借りる」ことにあると思います。つまり,Web 2.0の議論でよく語られる,「コミュニティの力」をうまく利用することです。
例えば,東芝がDVDレコーダー「RDシリーズ」向けに提供しているWebサービスでは,ユーザーの録画予約のデータをサーバーに集約し,その情報を解析することによって個々のユーザーの嗜好に合うと思われるお薦めの番組を紹介しています。
音楽ジュークボックス・ソフトウエアからユーザーの楽曲再生履歴を収集し,自分と音楽の趣味が似ている他のユーザーを紹介する,など新手のWebサービスも登場しています。ソニーの「PLAYLOG」と呼ばれるサービスなどで,今後は携帯型音楽プレーヤーからも楽曲再生履歴を収集する予定です。
Apple社が成功しているのも,「FairPlay」という独自のDRMでユーザーを囲い込むだけでなく,ポッドキャスティングなどコミュニティが作り出すコンテンツをうまく取り入れて魅力を増している点にあります。
このようにユーザーやインターネットのコミュニティの力を借りることで,機器に何らかの付加価値を加える手法を考え出せばいいのです。
Web家電が普及するまでの道のりは,かつてのインターネット家電が辿ったように決して平坦ではないでしょう。しかし,際限なき価格競争から抜け出すには,そこに踏み出す必要があります。大きな意識改革が家電メーカーに求められています。


















