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日経エレクトロニクス雑誌ブログ

光ファイバーは誰のもの その2

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2006/04/26 09:34
田中 正晴(日経エレクトロニクス)

 2006年4月18日付けのこの欄で,竹中総務大臣主催の「通信・放送の在り方に関する懇談会」におけるFTTHを巡るNTTとソフトバンクの攻防を取り上げた(関連記事)。この中で,ソフトバンクの孫正義社長がユニバーサル回線会社の設立構想や,月額690円で光のユニバーサル・サービスが可能と主張していることを紹介したところ,いただいたコメントではやはり月額690円というのは不可能だというものが多かった。

 では,なぜ孫社長は月額690円という値を提示したのだろうか。狙いは大きく二つあると思う。一つは,ユニバーサル回線会社構想の議論を具体化させようというものである。金額論争に持ち込めば,たとえほぼ倍額の1400円,あるいは3倍の2100円ということになっても,そのコストを前提にユニバーサル会社構想の是非を検討する方向に持ち込める。

 もう一つは,アクセス網にかかるコストのイメージを出来るだけ低く抑える狙いがあると考える。ユニバーサル会社構想が実現しなかった場合,アクセス網を持たない通信事業者は,主にNTTのFTTHを利用せざるを得ない。当然,NTTにアクセス網の費用を支払うことになる。月額690円という数字を浸透させることは,アクセス網の費用としてNTTに支払う金額の大幅な値下げ圧力につながる。別の見方をすれば,NTTのFTTH料金値下げに対する牽制球にもなる。NTTが大幅な値下げに踏み切ると,「やっぱりアクセス網の費用は我々のいった値に近いコストだから出来ること」と主張する根拠になるからだ。

 懇談会の議論は,その報告書や,2006年6月に策定される小泉内閣の経済財政運営の基本方針(骨太方針2006)にどういう形で盛り込まれるか,が最大の焦点となる。これが終わると,こうした政治的な駆け引きは一段落するだろう。FTTH時代に向けた通信業界の大枠が決まると,次は一気に料金の値下げ競争が始まると考えている。少なくともADSLで奪われたシェアの挽回に向けて,NTTグループはFTTHの利用料をADSLにどんどん近づけてくると予測している。この結果,ネットワークを使った番組配信もより事業化のペースが早まり,デジタル家電機器もネットワークを前提にしたものへと大きく変わっていく。「NTTのFTTH料金値下げに対する牽制球」と前述したが,これはNTTが大幅に料金を値下げしてくるだろうとソフトバンクなどが想定してのことと,筆者には思えてならない。


日経BP社では2006年5月19日に,東京・池袋のサンシャシンシティプリンスホテルにて,通信と放送の融合ビジネスを議論するシンポジウム「メディア コンバージェンス サミット2006」を開催します。詳しくはこちらを参照してください。

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