2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、中央大学理工学部電気電子情報通信工学科教授の竹内健氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。今回から3回にわたって掲載する。第1回はフラッシュを含めた不揮発性メモリーの特性と課題を解説する。(日経BP半導体リサーチ)

 ここではメモリーのビジネスの話ではなく、技術的なこと、そして、大容量化を目指して突っ走っている中でどのような技術が出てきて、ストレージの中でどう使われていくのかといった、やや未来のことを話したい。

 「フラッシュメモリーをどう使いこなすか」という講演タイトルは日経BP社が付けたものだが、「使いこなす」という表現になったのには訳がある。もともとフラッシュメモリーはデジタルカメラの画像の蓄積などを目的に、とにかく大容量で低コストを狙って開発されたデバイスである。しかし、非常に使いにくい。

 まず、書き換え単位が8Kバイトと非常に大きく、消去単位もMバイト、しかも上書きできない。さらには、壊れやすい。HDDの壊れやすさを考えるとそのぐらい壊れても仕方がないとも思えるところだが、半導体としては前例がないくらい壊れやすい。つまり、低速・低信頼・短寿命なのである。それを解決するためには、デバイスだけでなくコントローラーを含めた様々な技術を利用して「使いこなす」ことが必要になる。