2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、日本IBM システム製品事業本部 ストレージセールス事業部 ソリューション部長/システムズ&テクノロジー・エバンジェリストである佐野 正和氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。今回から3回にわたって紹介する。(日経BP半導体リサーチ)

 米IBM社は1956年に初めてHDDを作って以来、記録密度の推移をプロットしてきた。その中で注目すべきは、2000年から2010年までの期間、記録密度のCAGR(年平均成長率)がずっと100%だったことである。この「次の年には倍の容量のHDDが出る」時代が10年に続いた後、2010年以降のCAGRは25~40%となっている。ここから、2つのメッセージが見て取れる。1つはHDDの記録密度の高成長が続く黄金期は過ぎてしまい、次の黄金期は来ないかもしれないということ。もう1つは、とはいえHDDの容量はまだまだ伸びるだろうということである。5年後のHDDの記憶密度は、CAGRが25%であれば3倍になり、40%であれば5倍になる。

 その一方で、HDDの使用容量は年率50~60%で伸びている。記録密度のCAGRが100%の時代にHDDを買い換えると、容量を増やしても、以前より速く、価格は安くなっていた。しかし使用容量の伸びが記録密度を上回っているため、これからの買い替えコストは上がっていく傾向にある。

出典:日本IBM講演資料(以下同)
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