2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、日本サムスン副社長 Memory Enginnering Team, Team Leaderである犬飼 英守氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。最終回となる今回はNANDの微細化、3D NAND、次世代不揮発メモリーなどの将来の見通しを解説する。
               (日経BP半導体リサーチ)

 我々は、15nmプロセスクラスのNANDを既に量産化し、プレーナーでは14nmクラスまで実現した。そして、次の手として3D NANDを作った。CAPEX(設備投資)の問題もあり、大容量化は簡単ではない。そんな中でも、半導体メモリーはこれまで、DRAMは3年で4倍、NANDは2年で2倍と高密度化し、ビットコストを下げてきた。しかし、ここで、微細化の限界という壁が見えてきた。そこで、浮遊ゲートからCTF構造に変え、かつ3Dの縦積みのNANDに切り替えることで、微細化の壁を乗り越えようとする大きな流れが生まれた。その中で我々が先陣を切って3D NANDを開発し、SSDに搭載した(図9)。

図9●V\-NAND Technology
図9●V-NAND Technology
出典:日本サムスン講演資料(以下同)
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 最近、頻繁にアクセスする「ホットデータ」とアクセス頻度の低い「コールドデータ」にデータを分けて、それに合わせてメモリーを階層構造にしましょうという話がある。そこでは、メモリーをキャッシングするために高速の不揮発性メモリーが期待されている。

 しかしながら、世の中の技術には、微細化がバックグラウンドに潜んでいることを理解しなければならない。私はデバイスメーカーの立場として、メモリーの開発ではまずF値を考えろ、と言ってきた。F値は、どういったデザインルールにするとセルのサイズがどのぐらいになるかを示すものである。一般に、DRAMは6F^2、NANDは2F^2と言われている。MRAMだろうがReRAMだろうが、世の中がひっくり返るようなメモリーが出るとすれば、このF値を大きく変えなければならない。そうでなければ、DRAMやNANDに匹敵するようなメモリーが出てくるはずがない。