2014年11月に開催した日経BP社主催セミナー「半導体ストレージサミット2014~エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー~」から、楽天グループのプライベートクラウド基盤を担当する高泉 公一氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。3回連載の第3回である今回は、フラッシュストレージ追加導入時の機種比較の結果などを紹介する(第1回第2回)。(日経BP半導体リサーチ)

クラウド環境のストレージ構成

 クラウド環境のストレージは、次のようなもので構成されている。

 ネットワークは、10Gビット/秒EthernetのFibre Channel over Ethernet(FCoE)、スイッチは米Cisco Systems社の「Nexus」を使用している。NexusでFCoEをFibre Channelに変換し、Fibre Channelのストレージに接続する。仮想環境を構築するハイパーバイザーは「VMware」、サーバーはHP社の「BladeSystem」、ストレージはHP社「3PAR StoreServ」である。

 RIaaSにおいては当初、フレキシビリティを高められれば、性能はそこそこでいいと考えていた。だが、フラッシュストレージの使用やRIaaSの使い勝手を考えると、性能も上げたいという要求が出てきた。しかし、そのためにはストレージを速くする必要があった。

 当時は3PAR StoreServ 10000を使用していたが、これはミッドレンジからハイエンド向けのストレージであり、RIaaS環境で使用するための“カタログ”を用意していた。用途に応じてどのストレージを使い、CPUやメモリーはどのぐらいにするのかといったことを「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の4プランにまとめて選択できるようにしたのだが、プラチナは2フラッシュのストレージで、非常にコストが掛かった(図7)。

図7●Cloud環境のストレージカタログ
図7●Cloud環境のストレージカタログ
プラチナプランは非常にコストが掛かった

 いくら性能が良くても、安くなければ使われない。そこに「3PAR StoreServ 7450」というフルフラッシュの安価なタイプが登場した。これは、稼働中の3PAR StoreServ 10000と全く同じ使い勝手であること、コントローラーの数が4つで冗長性も同じであったことから、初のフラッシュ専用ストレージとして採用した。性能としては、IOPS(I/O per second)が5万~7万ほど、レイテンシーが10ms以下と、期待通りだった(図8)。

図8●3PAR StoreServ 7450の性能

 フラッシュの使用状況を表したのが、図9である。実際に使用されているサイズ(図の赤線)は、2013年9月には8Tバイトほどだったが、2014年8月には40Tバイト近くまで使用されている。

図9●フラッシュストレージの使用状況
2013年9月19日~2014年8月19日