2014年3月に開催した日経BP社主催セミナー「世界半導体サミット@東京 ~IoT時代の半導体成長戦略~」から、米Spansion社、Senior Vice President of Microcontroller Business Group、布施武司氏の講演を日経BP半導体リサーチがまとめた。今回から3回にわたって、IoT(internet of things)に対する同社の戦略を紹介する。(日経BP半導体リサーチ)

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 Spansion社は、フラッシュメモリー、マイコン、アナログを主としてさまざまなアプリケーション、製品、機器を提供しており、ほぼすべての民生機器、産業機器、車載機器に我々の製品が使われている。

 今から約10年前となる2003年に、Spansion社は誕生した。その10年前の1993年、米Advanced Micro Devices(AMD)社と富士通がフラッシュメモリー事業を切り出し、ジョイントベンチャーをつくった。それが、Spansion社の前身である。つまり、Spansion社は20年間、フラッシュメモリーを手掛けてきたのである。そして2013年8月、Spansion社は富士通からマイコンとアナログの事業を譲渡された。弊社には、メモリーの企業からソリューション企業になるという一大テーマがあったことと、昔からの付き合いやタイミングなどもあり、今回のような結果となった。

 Spansion社の主事業の一つであるフラッシュメモリーについては、特にNORの世界では弊社はナンバーワンといっても過言ではないだろう(図1)。マイコンに関しては、従来、独自アーキテクチャのマイコンを手掛けていたが、ここ数年はかなりの勢いでARMコアにシフトしている。そしてアナログ分野ではPMIC、いわゆるDC-DCコンバーターや電源チップが非常に多く使われている。今後はこういった技術要素・製品を融合して、ソリューションを目指していく。

図1 スパンションの会社概要
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組み込みアプリケーション向けのワールドクラスソリューション


 マイコンとフラッシュメモリー、アナログ&ミックスドシグナル、これらの技術要素・製品を融合したものが、いわゆるIoT(internet of things)の世界、これからの組み込みにおいて非常に重要な要素になる(図2)。これらを組み合わせたものにソフトウエアを加えてソリューションとして提供するのが、我々の基本戦略となる。

図2 組み込みアプリケーション向けのワールドクラスソリューション
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 マイコンは、前述したようにARMコアと独自コアを手掛けているが、現在はARMコアにシフトしている。

 フラッシュメモリーでは、チャージトラップという技術を10数年手掛けている。これは、ロジックプロセスと非常に親和性が高く、今後のマイコンに生かしていくことが重要な戦略となっている。

 さらに、センサーに対してのインターフェース、つまりリアルワールドとアナログ/デジタルワールドをつなぐ入出力を行うところについては、電源管理の技術要素・製品も非常に重要だ。