2014年3月に開催した日経BP社主催セミナー「世界半導体サミット@東京 ~IoT時代の半導体成長戦略~」から、インテル取締役 兼 副社長執行役員 宗像義恵氏の講演を日経BP半導体リサーチがまとめた。今回から3回にわたって紹介する。(日経BP半導体リサーチ)


 本稿では、IoT(internet of things)市場がどのぐらいのインパクトがあるのか、そしてそれを踏まえた上で、そこで起こっている環境の変化に対して米Intel社がどのように対応しようとしているのかを説明する。

 Intel社のコアコンピタンスは技術のイノベーション、つまり半導体のプロセス技術、そしてトランジスタを作ることである。ムーアの法則にのっとって、トランジスタを作る技術を愚直なまでにサイクルを守りながら前へ前へと進めてきた。その結果、もたらされる技術を社会に還元し、それに基づいて豊かな生活が実現することを我々は目指している。

コンピューティングの変遷

 そのバックグラウンドとしての環境、つまり市場はどのように変わってきているのだろうか(図1)。

図1 進化のスピードは光速に近づく
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 1951年、世界初の商用コンピューターが登場した。1959年は、Intel社の創業者であるRobert Noyce氏のプレーナ特許と、米Texas Instruments(TI)社に在席していたJack Kilby氏のキルビー特許という、ITを支える基本特許ができた年である。その後、1968年にNoyce氏とGordon Moore氏がIntel社を設立した。その翌年である1969年、インターネットのベースとなるARPANETが米国国防総省(DoD)によって始動した。

 1971年はIntel社が世界で初めとなる汎用のマイクロプロセッサー「4004」を発表し、Intel社はもちろん業界にとっても非常に大きな年となった。

 ここまでは大体10年置きのサイクルで社会にインパクトがあるようなITの技術革新が起こってきたが、1990年以降は急に加速してくる。