半導体製造 プロセス技術や工場の動向を知るための
 

【セミナー報告】次世代パワー半導体、材料からデバイスまでを産総研が解説(第4回)

大下 淳一=日経BP半導体リサーチ
2013/08/08 09:00
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 2013年6月28日に日経エレクトロニクスが主催したセミナー「NE先端テクノロジーフォーラム 次世代パワー半導体のインパクト」(協賛:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン)から、産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター 研究センター長を務める奥村元氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。今回はその第4回(第1回第2回第3回)。
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 SiやGaAsといった従来の半導体材料では、LSI技術を用いて素子を集積する。パワー・エレクトロニクスの分野でこのLSIに相当するのが、パワー・モジュールである。パワー・モジュールにはダイオードやトランジスタ、さらには各種の周辺回路が搭載され、最終的には自動車のパワー制御モジュールなどとして利用される。

 パワー・モジュールにSiCやGaNなどのワイドギャップ半導体を用いる上で重要になるのが、各種の周辺材料である。パワー・モジュールを作るためには、セラミックスやポリマーなど、さまざまな高機能材料が必要になる。当然、コンデンサやインダクタなどの受動素子にも特別なものが必要だ。それら総合的に利用して、パワー・モジュールに集約していくわけである。

 図1には、SiやGaAsなど従来の半導体材料と、SiCやGaNなどの新材料に関して、物性やプロセス条件の違いを示した。SiやGaAsに比べると、ワイドギャップ半導体は概してプロセス温度が高い。そのため、専用のプロセス技術を新たに開発する必要がある。

図1●Si, GaAsデバイスとSiC, GaNデバイス
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 デバイス・コンセプトについても特徴的な点がある。SiのLSIはロジックやメモリに使われ、大量の情報を高速に処理する点に価値が見いだされる。一方、SiCやGaNなどのパワー・デバイスは、高電圧や大電流といった点に価値がある。Siデバイスではモノリシックに高集積化してLSIを実現するのに対し、パワー・デバイスでは単一のトランジスタで大電流を扱えた方が便利である。そこで、チップ寸法が1cm角にも及ぶような100A級のトランジスタを、ディスクリート部品として使うわけである。

 ただし、大型のチップであってもゲート部分などには微細加工が欠かせない。特に、オン抵抗を下げるためにはサブミクロンの微細加工技術が求められ、大きいトランジスタだから作るのが簡単というわけでは決してない。

最大の課題はウエハー品質

 材料が変わることによって、新しい要素技術がどの程度必要になるかを図2に示した。まず、ウエハーの材料となるインゴットを作り直さなければならない。それをウエハーに加工して薄膜を形成し、デバイスを作り込む。最終的には個片化して回路に組み込み、インバータなどの変換器として実装する。これらすべての領域で、新しい技術が必要になる。デバイス構造やモジュール技術、信頼性の高い生産技術など、さまざまな課題が残っており、特にウエハー品質に関して未解決の問題が多い。

図2●半導体結晶からインバータまでの技術要素
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 SiC単結晶ウエハーのいくつかの製品のX線像を図3に示す。Siウエハーでは通常見られないような、さまざまな歪みや欠陥がSiCウエハーには存在することが分かる。

図3●SiC単結晶ウエハーの比較
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、高品質のSiCウエハーも徐々に市場に出てきている。従来のSiCウエハーには、ミクロン・サイズの穴がウエハーを貫通する「マイクロパイプ」と呼ばれる欠陥が存在したが、この問題はほぼ解決されてきた。市販されている製品では、仕様上でマイクロパイプはウエハー当たり5個以下となっており、実際には1個を切る水準まで改善している。

 現在の主流は4インチ・ウエハーだが、マイクロパイプはほぼ解決しており、残る課題は転位(dislocation)密度の低減である。転位には貫通転位や基底面転位、結晶面のゆがみなどいくつかの種類がある。これらを減らしていくことが目下の開発のポイントとなっている。

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