2013年2月6日に日経BP社が主催したセミナー「世界半導体サミット@東京 2013 ~クラウド&スマート時代への成長戦略~」から、ファウンドリー大手の米GLOBALFOUNDRIES社のCEOを務めるAjit Manocha氏の講演を日経BP半導体リサーチがまとめた。今回はその最終回(第1回、第2回)。
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ファブレスやIDMと、ファウンドリーとの協業のスキームは、ここにきて大きく変化している。従来に比べてかなり早い段階から、設計や製造、製品企画などさまざまなレベルで議論と協業を行うようになってきた。新しい技術やソリューションを、ファウンドリーとそのパートナー企業が一緒に生み出していく、という考え方が浸透してきたためだ。
こうした協業スキームの根底にあるのは、「成功を共有する」という発想である。現在では先端ファブへの投資は70億米ドルほどの規模に達しており、ファウンドリーとパートナーが協業関係に基づいてそのファブを最大限に活用しなければ、ビジネスが立ち行かない状況を迎えている。共通の目標に向かって、両者がリアルタイムで協業することが重要になってきているわけだ。
こうした協業に基づく新しいビジネスモデルを、我々は「Foundry 2.0」と呼びたい(図1)。このモデルが実現するのは、“バーチャル(仮想的)なIDM”である。すなわち、ファブレスやIDMとファウンドリーがシームレスで柔軟な協業体制を敷き、顧客の戦略を具現化していく。この仕組みは“Collaborative Device Manufacturing”とも言い換えられる。我々は既にこの新しいビジネスモデルを成功へと導きつつある。以下ではその内容について話したい。
微細化、EUV、大口径化などに注力
GLOBALFOUNDRIES社はさまざまな技術課題を乗り越えて、毎年新しい技術ノードを発表している(図2)。2011年には32nm世代、2012年には28nm世代の量産を立ち上げており、2013年は20nm世代、そして2014年には14nm世代を立ち上げる。14nm世代で導入するFinFET技術については2012年に発表済みである。2015年には10nm世代の量産を実現し、さらにその先へと技術ノードを進めていく計画である。
ただし、半導体業界が今後乗り越えていくべき技術課題は少なくない(図3)。完全空乏型SOI(FDSOI)やFinFETなどの新しいデバイス技術の実現、2.5次元/3次元などのパッケージング技術の導入、450mmウエハーへの大口径化、EUV(extreme ultraviolet)を含む低コストのリソグラフィ技術の実現、などが挙げられる。
我々は、これらの次世代技術の開発に積極的に取り組んでいる。EUVについてはコンソーシアム・メンバーに名を連ねており、450mmウエハーについても「Global 450 Consortium(G450C)」に参加している。450mmウエハーについては、対応するファブを建設する考えだが、業界の先陣を切るつもりはない。業界が450mmへ移行する準備が整ったことを確認したうえで、投資するつもりだ。
今から2週間前に、我々はニューヨーク州マルタの半導体工場「Fab 8」内に、これらの次世代技術の開発を加速するための拠点「Technology Development Center」を設立した(図4)。ここに20億米ドルを投資し、EUVや次世代パッケージングなどをいち早く実用化していく。