• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

HOME電子デバイスセミナー報告 > 【SCRセミナー報告】Micron社CEOが展望する半導体メモリの将来(中)

セミナー報告

【SCRセミナー報告】Micron社CEOが展望する半導体メモリの将来(中)

  • 大下 淳一=日経BP半導体リサーチ
  • 2013/07/03 07:00
  • 1/2ページ

 2013年2月6日に日経BP社が主催したセミナー「世界半導体サミット@東京 2013 ~クラウド&スマート時代への成長戦略」から、半導体メモリ大手の米Micron Technology社のChief Executive Officerを務めるMark Durcan氏の講演を日経BP半導体リサーチがまとめた。今回は3回連載の第2回。第1回はこちら
――――――――――――――――――――――――――――――――

 今後、モバイル端末などの新しいアプリケーションを支えていく上で、メモリ技術はどのような課題を克服していく必要があるのだろうか。結論をいえば、最大の課題はコスト低減を維持していくことだ。

 現時点で、リソグラフィの技術的な難しさがスケーリングの限界になるとは思えない(図1)。例えば、最小加工寸法が15nmのライン・アンド・スペースやコンタクトのパターンを形成することは、マルチプル・パターニングなどの方法を使えば技術的には可能である。しかし、本当に問題になるのは、こうした技術を適用することで、コストを下げられるかどうかである。元のパターンのピッチを1/2、さらには1/4に分割して微細なパターンを形成しようとすると、製造プロセスが非常に複雑になり、コスト高になってしまう。

図1●リソグラフィは技術よりもコストが課題
[画像のクリックで拡大表示]

 この問題に対しては、EUV(extreme ultraviolet)リソグラフィが救世主になると我々は考えている。ただし、EUVは現状では光源の高出力化がスケジュール通りには進んでいない。将来的には必ずEUVを使えると我々は信じているが、当面は現行技術とのギャップを埋めるようなコスト低減技術が必要になる。すなわち、リソグラフィ技術の限界は、技術的なものではなく、むしろコストの問題だといえる。

 次に、DRAMとNANDフラッシュ・メモリのそれぞれについて、デバイス技術上の課題を指摘したい。

 まずDRAMについては、4Gビットといった先端品ではトレンチ・キャパシタのアスペクト比が30に迫るなど、デバイス構造が非常に複雑になっている(図2)。この先スケーリングを続けようとしても、蓄積電荷を増やしつつ、メモリ・セル面積を縮小することが難しくなってきている。加えて、読み出しに使うアンプ回路のノイズも大きな問題だ。結果として、動作電圧のスケーリングも難しくなっている。これらの技術課題は、20nm世代、さらには15nm世代や12nm世代へDRAMをスケーリングしようとするとますます顕著になるだろう。

図2●DRAMのスケーリングの技術課題
[画像のクリックで拡大表示]

 NANDフラッシュ・メモリも、同様に大きな技術課題に直面している。例えば、メモリ・セルに高い電界が加わるなどの問題から、寸法の縮小が難しくなっており、ゲート絶縁膜の薄膜化も難しい状況にある(図3)。

 こうした状況から、15nm世代までは微細化できるとしても、その次の12nm世代へのスケーリングは非常に難しいとみている。NANDフラッシュ・メモリのスケーリングを持続するためには、まったく新しいデバイス構造や動作アルゴリズムが必要になるだろう。

図3●NANDフラッシュ・メモリのスケーリングの技術課題
[画像のクリックで拡大表示]

新メモリの出番生まれる

 こうした事情から、現行のメモリは今後、コスト低減ペースが鈍ってくる公算が大きい。DRAMではこれまでビット・コストが年率30%、NANDフラッシュ・メモリでは同40%のペースで低減してきたが、そのペースを維持できなくなるだろう。

 結果として、新しいメモリに市場参入のチャンスが生まれてくる(図4)。従来型メモリのコモディティ化した安価なプロセス技術と、コストでまともに競う必要がなくなってくるためだ。10年前には、新しいメモリがDRAMなどの既存メモリをすべて置き換えると考えたが、その構想は結局、既存メモリの製造コストの低さゆえに実現しなかった。だが、従来のメモリと新しいメモリの競争環境は、ここにきて大きく変化している。

図4●メモリ技術のロードマップ
[画像のクリックで拡大表示]

 加えて、10年前にはDRAMやNANDフラッシュ・メモリのスケーリングのロードマップと、ReRAMやPCM、STT-MRAM(スピン注入磁化反転型MRAM)などのロードマップが、ある時点で交差するなどということは考えられなかった。そうした事態も徐々に現実のものとなりつつある。

 新しいメモリが現状では大きな課題を抱えていることも事実だ。しかし、メモリ業界にとっては新メモリが大きなビジネス・チャンスを生む。システムにおけるメモリの使われ方を大きく変えるだろうし、我々が顧客に提供できる価値も大きく変え得るからだ。

 新メモリにはさまざまな技術候補があり、それぞれに一長一短がある(図5)。メモリ・メーカーとしては、このうちの一つの将来性に賭けて、それだけに特化して開発を進めるわけにはいかない。開発には大規模な投資が継続的に必要だが、それでも複数の技術候補の開発を並行して進めていくほかない。

図5●新メモリの技術候補
[画像のクリックで拡大表示]

 どのメモリが勝者になるか、という点について個人的な意見を言わせてもらうならば、伝導ブリッジ型メモリ(conductive bridge RAM:CBRAM)は間違いなく数年以内に市場に出てくるだろう。また、STT-MRAMもいずれ市場の一部を占めることになると見ている。もちろん、そのほかの新メモリにも可能性はある。

おすすめ ↓スクロールすると、関連記事が読めます↓