昨年(2014年)の「IMID(International Meeting on Information Display)」の展示会では、SamsungグループとLGグループという韓国の両雄の展示が無かったので、非常に寂しい思いをした。しかし、今年(2015年)は2社の展示が復活し、展示会場も大きな賑わいを見せていた。LGグループは展示だけでなく、基調講演が行われたメーンホール前のロビーでも追加の展示コーナーを設けていた。まずはそちらの展示から紹介する。

マグネットで自由に貼り替え、LGの有機ELテレビ

 ロビーの展示コーナーで一番目を引いたのがマグネット貼り付け型の有機ELテレビ(OLED-TV)である。LGグループは基調講演で「有機EL=フレキシブルディスプレー」であり、いつでもどこでも自由に使えるのが有機ELの最大の長所であると主張していたが、まさに有言実行で、実際に試作し展示してくれたのは素晴らしいことである。

 これなら大画面のタイル型ディスプレーも簡単にできそうだ。展示会やイベント用に「マグネット有機EL」をペタペタつなぎ合わせて大画面を実現するのは、かなり現実的な話になるかもしれない(関連記事)。使い終わったポスターを貼り替えるように、目的に応じて異なる画面サイズや解像度のタイル型ディスプレーを自由につなぎ替えて使う日が来るかもしれない。「模様替え」の代わりに「ディスプレー貼り替え」で部屋の雰囲気を一新というのも面白い。デジタルサイネージの概念が変わりそうな気がする。

 マグネット式の隣には製品版の77型と65型の4K有機ELテレビが置かれ、その右隣には曲率を大きくした55型と、曲率を凹型ではなく凸型にした55型の有機ELテレビが展示されていて面白かった。大人数に見せたい場合には凸型の曲面テレビやデジタルサイネージという用途は確かにあると思うし、逆に1人でゲームをする場合により高い臨場感を得るためには曲率の大きな画面を使うという選択肢もあるだろう。さまざまな新しい可能性を想像させてくれるユニークな展示だった。

 車載用の有機ELパネルも展示していた。これは今年(2015年)の「SID」でも展示していたものだが、液晶パネルに比べて明らかに視認性が良いので、信頼性の課題さえ克服できれば十分実用的な表示デバイスになるだろう。この他、ウオッチ型やモバイル用フレキシブル有機ELも展示していた。残念なのは、フレキシブルの展示物がアクリル板で完全に固定されていることである。この固定板が外されて自由に折り曲げられるようになったとき、真のフレキシブル有機ELの時代が到来するだろう。