出力抑制量を最小化し、発電所ごとに抑制量を公平に分配できる。画像は九州の出力70MWクラスのメガソーラー(出所:日経BP)
出力抑制量を最小化し、発電所ごとに抑制量を公平に分配できる。画像は九州の出力70MWクラスのメガソーラー(出所:日経BP)
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 NECは8月24日、太陽光発電の出力抑制量を最小化できる技術を開発したと発表した。東京大学 生産技術研究所 荻本和彦特任教授、東京農工大学 工学研究院 池上貴志准教授と共同で開発した。
 
 現状では、太陽光発電の正確な発電量の予測は難しい。確実な電力需給バランスを実現するために、電力会社が発電事業者に求める出力抑制量が過剰になる傾向があることが、課題となっている。

 また、出力抑制量を一部の発電事業者に偏らせず、公平に分担する制御が求められている。こうした課題を解消し、太陽光発電の出力抑制を最小化する手法の一つとなりうる。

 今回、開発した技術は、太陽光発電の電力量を高精度に予測し、かつ、予測値のズレ幅を把握できる。これによって、それぞれの発電事業者に割り当て可能な最小限の出力抑制量を算出でき、過剰な抑制を低減できる。

 また、太陽光発電所の設置場所の気候条件や抑制履歴を考慮し、出力抑制量を公平に割り当てられる。発電事業者ごとに、きめ細かく出力抑制量を分配し、発電事業者間の公平な出力抑制も可能にする。

 開発した技術を、電力システムの運用解析技術を使って評価した結果、従来の手法と比べて、従来よりも抑制日数は多くなるものの、出力抑制量を3分の2に抑えられることを検証できたという。

 こうした技術を使うことで、太陽光発電事業者にとって、売電機会の損失を最小限に抑えることが可能となり、出力抑制量の低減と配分の公平性に寄与できるとしている。