セキュアドローン協議会が確立を目指すドローンの自動航行システム
セキュアドローン協議会が確立を目指すドローンの自動航行システム
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 セキュアドローン協議会は、北海道旭川市と北海道上川郡東川町で、ドローンを稲作やワインぶどうの生育・栽培に生かす実証実験を開始する(発表資料)。同協議会は2015年6月に発足し、今回の実証実験に向けた調査・分析を進めてきた。会員企業は、新たにソフトバンク・テクノロジー、サイオステクノロジー、ベジタリアを加えて現在9社。

 旭川市での実験では、ドローンで稲作の圃場を空撮し、肥料を与えたり、農業害虫などの防除をしたりするタイミング・場所の最適化を図る。田植えから収穫までの圃場内定地点ごとの葉の空撮画像データと、圃場地上で計測した土壌成分データを合わせて、定点ごとの葉色と生育状況の関連性を観察・分析。葉色に合わせて肥料をやりながら、葉の病虫害の早期発見・最適な防除方法を農業知見者とともに検討していく。

 2015年度はフランスParrot社の「Bebop Drone」による空撮映像を蓄積し、農業に対する有効性や活用のための課題などを農業知見者と検討する。また、農家に負担をかけないため、ドローンの安全な自動航行の実現性を検証していく。すでに、敷地内での正確な航行や、非常時の緊急着地方法などに課題が見つかっているという。さらに、ドローンの制御情報や撮影データのクラウドサーバーへの送信や、Webサービス経由での自動航行経路の遠隔制御指示などの実現を目指す。現時点ではセキュリティーの確保や、クラウドを介することによる制御遅延などが課題という。

 上川郡東川町での実験では、ドローンを使って病虫害を早期に発見することなどで、ワインぶどうの生育・栽培を支援する。具体的には、ドローンの自動航行により、定期的に畝づたいに一本一本の静止画を撮影する。近赤外線センサーなどを併用し、木ごとに葉色の変色箇所を特定するとともに、房数と房ごとの実の数を定点観測。房を間引いたり、房の付近の葉を取り除いたりするべき場所を木ごとに特定することなどに役立てる。

 さらに、温度センサーや照度センサー、CO2センサーの計測データを、地上圃場に設置したセンサーモニタリングポストから収集・照合。翌年からの病害予防・対策や、温度・照度・CO2濃度に合わせた栽培対処方法をマニュアル化することを目指す。

 なお、セキュアドローン協議会は2016年度から、会員ドローンの農業活用に向けて農業従事者や知見者と連携し、安全な利活用のための実証実験を行うとともに、クラウドソリューションの研究・開発を始める。