石狩市での高温超電導ケーブルを使った直流送電事業のイメージ(出所:石狩超電導・直流送電システム技術研究組合)
石狩市での高温超電導ケーブルを使った直流送電事業のイメージ(出所:石狩超電導・直流送電システム技術研究組合)
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 石狩超電導・直流送電システム技術研究組合は8月6日、500mの超電導送電試験に成功したと発表した。超電導直流送電では世界最長級の送電距離となるという。今回の成功を踏まえ、今年9月には太陽光発電設備とデータセンターをつなぎ、太陽光の電力を高温超電導ケーブルで直流送電し、データセンターに供給する計画だ。

 同組合は、超電導直流送電とその関連技術を共同で研究・試験するため、千代田化工建設、住友電気工業、中部大学、さくらインターネットにより2014年1月に設立された。経済産業省の委託事業として、北海道石狩市で高温超電導ケーブルを使った直流送電事業を推進している。

 同事業は、2つのフェーズからなる。第1フェーズでは、太陽光発電設備とデータセンターを約500mの高温超電導ケーブルでつなぎ、太陽光発電の電力を直接、データセンターで活用する。第2フェーズでは、2018年3月末までに北海道電力の変電所とデータセンターを約2kmの超電導ケーブルで結び、北電の商用電力を直流送電する。

 今回、成功した超電導送電試験は、500mの高温超電導ケーブルの両端に位置する送電設備の間を試験的に直流送電したもの。今年9月には、さくらインターネットの建設した太陽光発電設備(出力約200kW)と同社の「石狩データセンター」を高温超電導ケーブルの両端に接続し、太陽光の電力を交流に変換せずにデータセンターで直接、活用する試験を開始する。

 今回の試験では、5kA、100MVAの送電能力を確認した。これは約3万世帯分の電力に相当する。使用した超電導ケーブルは、国内で初めて公道の下に埋設し、新たな配管構造の採用により、送電路の熱損失を従来の約半分に低減したという。