経産省が示したFIT電気の表示方法の例(出所:経産省)
経産省が示したFIT電気の表示方法の例(出所:経産省)
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 経済産業省は7月28日、電力システム改革小委員会・制度設計ワーキンググループ(WG)・第14回会合を開催し、2016年4月の小売り全面自由化に伴う再生可能エネルギー電気の表示ルールと電源開示義務などに関して事務局案を示した。固定価格買取制度(FIT)で交付金を受けた再エネ電気については、「FIT電気」と表示し、「グリーン電力」など再エネの付加価値を訴求する表現は使えないという方向が固まった。

 電力小売事業者が、FIT制度による再エネ電気を購入し、交付金を受けて販売する場合、再エネであることを付加価値として訴求できない。これに関しては、すでに制度設計WGで合意事項になっている。第14回会合では、「再エネ訴求」とされない表示ルールとして以下の要件が示された。(1)「FIT電気」と表示すること、(2)その割合を表示すること、(3)FIT制度の説明を表示することーーの3つとなる。

 「グリーン電力」「クリーン電力」「きれいな電気」など、再エネの付加価値を訴求する表現は使えない。ただし、再エネとしての価値がないことを説明した上で、「太陽光発電電気」「再生可能エネルギー電気」メニューなどとして販売したり、他の電気と区別しない場合に「太陽光発電電気の比率が高い電気」などと表示したりすることの是非に関しては、残る論点として、賛否両論を併記した。

 ただ、「地産地消」メニューとして訴求・販売することは、再エネとしてではなく、発電設備の立地地域を付加価値としているため、認められる方向性を示した。

 加えて、FIT制度を利用せずに再エネ電気を調達した小売事業者、FIT制度を利用して調達したが、交付金を受け取っていない小売事業者に関しては、再エネの付加価値を訴求した表現を表示しても、差し支えないことも確認された。

 一方、電力小売事業者に対し、電源構成の開示を義務化することの是非に関しては、委員の意見が分かれていることもあり、明確な方向性は示されなかった。ただ、任意でなく義務化した場合の問題点を列挙し、課題が多いことを印象付けるものとなった。