九電が5月4日16時7分に予測した5月4日の需給見通し(出所:電力広域的運営推進機関)
九電が5月4日16時7分に予測した5月4日の需給見通し(出所:電力広域的運営推進機関)
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 電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)は7月22日、九州電力が種子島で実施したメガソーラー(大規模太陽光発電所)の出力抑制に関する検証結果を公表した。それによると、今回の出力抑制は「適切である」としつつも、電力需要と太陽光発電出力の想定値について、さらに精度を向上すべきとの改善点を示した。

 検証したのは、九州電力が鹿児島県種子島で2015年5月5日9~16時に実施した出力抑制。出力約1MWのメガソーラー事業者に対し、9~16時の7時間にわたって、1MWの出力抑制を指令した(関連記事)。需給バランスの維持を目的とした再生可能エネルギーに対する出力抑制としては、日本で初めてのケースとなった。

 広域機関が検証した項目は、(1)抑制指令を行った時点で予測した離島の需給状況、(2)下げ代確保の具体的な内容、(3)再エネの出力抑制を行う必要性――の3点。

 九電は、2015年5月5日13時の需要を、過去(2010年5月4日13時)の実績などから17MWと想定し、供給予備力を10%として、必要供給力を18.7MWに設定した。また、太陽光の出力予測については、気象会社が前日10時に発表した日射量予測などから最大8.6MWとし、天気急変時に1.5MWまで低下すると想定した。

 九電は、事前に定格出力6MWのディーゼル発電機を3台稼働することを選択した(定格総出力は18MW)。同発電機の最低負荷率は50%のため、ディーゼル発電機の最低出力は9MWとなり、太陽光の最大出力の想定値(8.6MW)を足すと17.6MWに達することになる。これは需要想定の17MWを0.6MW上回るため、出力抑制の指令を出すに至った。

 こうした九電の需給想定や下げ代確保の内容に関し、広域機関は、需給の想定や予測の手法は「適切であった」と評価し、「必要な供給力を確保し、太陽光の出力変動に対しても、ディーゼル発電機の最低負荷率50%を維持するため、再エネの出力抑制を行う必要があった」と結論付けた。ディーゼル発電機の下げ代(最低負荷率50%)の妥当性については、発電機メーカーにヒアリングして、適切であることを確認したという。

 一方で、「需要想定と、太陽光発電の最大出力・出力低下の想定のさらなる精度向上」を改善点として示した。ただ、今回、発表された検証結果では、5月5日の実際の需給状況を一切、公表していないため、予測の精度(想定と実績のズレ幅)や、今後の改善余地については外部からはまったく判断できない。