展示会に参考出展された「DCエアコンハイブリッドシステム」(出所:日経BP)
展示会に参考出展された「DCエアコンハイブリッドシステム」(出所:日経BP)
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 シャープは、「DCエアコンハイブリッドシステム」を年内に発売する。2015年7月29日から31日まで開催中の展示会「PVJapan 2015」に参考出展した。室外に置いた家庭用蓄電池から、直接、エアコンの室外機に直流(DC)電流を供給する仕組み。パワーコンディショナー(PCS)を介して交流(AC)に変換しないことで、約5%の電力ロスを削減できるという。

 エアコンの室外機に搭載されているコンプレッサー(圧縮機)は、DCブラシレスモーターで駆動するため、通常、家庭用のAC100Vの電流を電源回路内でDC200Vに変換して稼働させている。蓄電池の電力でエアコンを稼働させる場合は、蓄電池から出力するDC100Vの電流をまずPCSでAC100Vに変換し、エアコン(室内機)のプラグを通じて、室外機に供給され、電源回路で再びDC100Vに変換してコンプレッサーを駆動していた。

 「DCエアコンハイブリッドシステム」では、蓄電池のDC100Vの出力を室外機の電源回路でDC200Vに昇圧するだけで済むので、直交変換に伴う電力ロスが大幅に削減できる。

 シャープの家庭用蓄電池システムである「クラウド蓄電池」では、経済性を重視したモードの場合、太陽光の発電電力を自家消費して余剰分を売電し、安い深夜電力を蓄電池に充電する。朝夕の太陽光の発電量の少ない時間帯に蓄電池を放電する。また、環境性を重視したモードでは、太陽光の電力を自家消費し、余剰分で蓄電池に充電し、朝夕に放電する。

 「DCエアコンハイブリッドシステム」とクラウド蓄電池を組み合わせることで、朝夕に蓄電池の電力でエアコンを稼働する場合、室内機はPCSを通じてAC100Vで稼働する一方、室外機には直接、蓄電池からDC100Vが送電される。これにより太陽光の電力や深夜電力を効率的に使える。エアコン(室外機)が、太陽光か蓄電池の電力で稼働している場合は、エアコンの正面にそれぞれの形が表示される。

 こうした一連の制御は、クラウド蓄電池の導入に必要なHEMS(住宅エネルギー管理システム)が最適に運用するため、利用者が切り替える必要はない。

 シャープでは、2015年内に「DCエアコンハイブリッドシステム」を発売する。既存の太陽光発電システム、クラウド蓄電池に後付けで設置できる。ただし、その場合、PCSのソフトウエアの書き換えが必要になる。