内閣総理大臣補佐官 内閣官房健康・医療戦略室室長の和泉 洋人氏
内閣総理大臣補佐官 内閣官房健康・医療戦略室室長の和泉 洋人氏
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挨拶に立つ神奈川県知事の黒岩 祐治氏。黒岩氏は健康・医療戦略推進本部に政策的助言を与える健康・医療戦略参与会合のメンバーでもある
挨拶に立つ神奈川県知事の黒岩 祐治氏。黒岩氏は健康・医療戦略推進本部に政策的助言を与える健康・医療戦略参与会合のメンバーでもある
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 京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の推進主体であるライフイノベーション地域協議会は2015年7月23日、神奈川県庁本庁舎において第8回会合を開催した。

 京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区は、国が指定した国際戦略総合特区の1つ。京浜臨海部に集積する産業基盤を活用しながら、医薬品・医療機器産業を活性化させる取り組みを進めている。当日は、一般社団法人ライフイノベーション国際協働センター代表理事の松本洋一郎氏を新会長に選出したほか、国際戦略総合特別区域計画の認定状況、国際戦略総合特別区域計画の変更申請、神奈川県、横浜市、川崎市の各自治体における取り組み状況についての報告があった。

 続いて行われた基調講演では、内閣総理大臣補佐官 内閣官房健康・医療戦略室室長の和泉 洋人氏が登壇。健康・医療戦略推進本部が2015年7月21日に決定したばかりの「健康・医療戦略の実行状況と今後の取組方針2015」や「医療分野研究開発推進計画の実行状況と今後の取組方針2015」などを解説した。

 「健康・医療戦略の実行状況と今後の取組方針2015」は、2014年7月22日に閣議決定した「健康・医療戦略」の実行状況をフォローアップするとともに、主要な施策についての方針を取りまとめたものとなる。施策には「医療分野の研究開発」「新産業の創出」「医療のICT化」などがある。

 このうち医療分野の研究開発の施策としては、「日本医療研究開発機構」が2015年4月に発足・始動した。同機構は医療分野の研究開発を戦略的に推進していくための組織であり、医療分野の研究開発予算は基礎から実用化まで同機構に集約されることになる(関連記事「日本版NIHで医療研究費のワンストップサービスを実現」)。このほか、薬事法(医薬品医療機器等法)の改正やPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の体制強化を通じて、研究開発の成果を実用化に迅速に結び付ける施策も実行してきたという。

 新産業の創出では、地域におけるヘルスケア産業の創出のために2014年11月に「地域でのヘルスケアビジネス創出に向けた取組方針」を策定。さらに、健康経営を実践する企業を評価するために東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」を22社を選定したことを紹介した(関連記事「『健康経営銘柄』はこうして選ばれた」)。

 和泉氏は講演の後半、日本が持続的成長を遂げる必要条件として、生産性、資本ストック、労働力の3つを挙げた。このうち労働力の確保は、「生産年齢人口の減少」「移民については国民のコンセンサスが取れていない」という前提に立つと、高齢者と女性の労働人口を増やしていくしかない。その上で、和泉氏は高齢者が働く場として、比較的元気な高齢者が高齢者の世話をする「老老介護」に言及した。「老老介護というと暗い話題として語られることが多い。これを明るい話題に変えていければ、日本が世界に対して提示できる長寿社会のモデルケースとなる」(和泉氏)。