「青色LEDを利用した白色LEDはいずれなくなるのではないか」――。

 こう語るのは、青色LEDの開発で2014年のノーベル物理学賞を受賞した、米University of California Santa Barbara校(UCSB) 教授の中村修二氏である。2015年7月24日に開催したセミナー「GaNが起こすエネルギー革命」(主催:日経エレクトロニクス)での講演の中で語った。

 液晶のバックライトや照明などに利用されている白色LEDは、主に青色LEDチップと黄色の蛍光体を組み合わせている。このタイプの白色LEDは、「青色光のピーク強度が強く、睡眠障害を引き起こしやすい課題がある」(中村氏)と指摘した。いわゆる「ブルーライト問題」である。この解決策として紹介したのが、米Soraa社が手掛ける白色LEDである。

 同社は、中村氏が共同設立者(co-founder)として名を連ねるLEDベンチャーで、紫色LEDチップに赤色(R)と緑色(G)、青色(B)の蛍光体を組み合わせた白色LEDを手掛けている。この白色LEDであれば、「蛍光体を紫色LEDで励起して青色光を得るので、青色光のピーク強度があまり強くない」(中村氏)。加えて、可視の波長域すべての光を出力できるので、太陽光のような理想的な白色を実現できるとした。