OXIS社のLi-S電池の開発実績とロードマップ (図:OXIS社)
OXIS社のLi-S電池の開発実績とロードマップ (図:OXIS社)
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 英Anesco社と英OXIS Energy社は2015年7月、再生可能エネルギーの出力を安定化する蓄電池を2016年に出荷すると発表した。OXIS社が開発するリチウム硫黄(Li-S)電池を利用する。

 Anesco社は、再生可能エネルギーを中心とした中小の電力システム事業で急成長中の「エネルギーソリューションプロバイダー」(同社)。2014年度の売上高は1.6億英ポンド(約307億円)。前年比で約50%増の成長率だった。

 一方、OXIS社は、Li-S電池を開発するベンチャー企業。Li-S電池は正極に硫黄、負極に金属Liを用いた2次電池で、理論的な重量エネルギー密度は2700Wh/kgと非常に高い。一方で実用化には大きな課題があった。硫黄を用いた正極の耐久性が非常に低いのである。

 OXIS社は2012年に、Li-S電池で放電深度が80%と深い充放電を1000回以上繰り返しても、初期容量の80%を維持したと発表した。同社は、放電深度100%でも大きな課題は出てこないと主張する。

 さらに同社は2014年11月にLiイオン2次電池を超えるエネルギー密度300Wh/kgを達成したと発表した。1セルの容量は25Ahと大きい。

 今後の開発ロードマップでは、サイクル寿命については、実地には未確認であるものの、現在の技術で2000回のサイクル寿命を見込めるとしている。2015年半ばに容量が33Ahのセル、2016年末までにエネルギー密度で400Wh/kg、2018年末までに同500Wh/kgのセルを開発するという。