「長期エネルギー需給見通し」に示された2030年度の電源構成(出所:経済産業省)
「長期エネルギー需給見通し」に示された2030年度の電源構成(出所:経済産業省)
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 経済産業省は7月17日、2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)などを決めた「長期エネルギー需給見通し」を正式に決定した、と発表した。6月1日の長期エネルギー需給見通し小委員会(第10回会合)で示されていた内容で、電源構成は、「再生可能エネルギーの比率22~24%」「原子力の比率22~20%」などとなった。

 再生可能エネルギーの種別ごとの構成比は、地熱1.0~1.1%、バイオマス3.7~4.6%、風力1.7%、太陽光7.0%、水力8.8~9.2%となっている。

 「太陽光7.0%」の裏付けになっている発電量は約749億kWhで、これを設備容量に換算すると約64GWとなる。発電量が約749億kWhとなった経緯は、まず固定価格買取制度(FIT)による賦課金の総額を2.3兆円と決め、それを上限に導入量を決めた。

 つまり、太陽光に関しては、「賦課金2.3兆円」が一種のシーリング(天井)となっている。今後、FIT初期に認定された案件が取り消しや辞退となり、より低い買取価格の案件に置き換わっていけば、賦課金の総額が小さくなる可能性がある。そうなれば、64GWを超えた導入量が受け入れられる余地もある。

 「太陽光64GW」は、新エネルギー小委員会で試算された日本全体の接続可能量である61GWとほぼ同水準となり、需給バランス上、大きな追加投資をせずに系統連系できることになる。ただ、需給バランスの制約とは別に、ローカル系統の容量不足から64GWの導入が難しくなる恐れも指摘されており、その場合、新たな系統対策が必要になる。