完成した「シャープ富岡太陽光発電所」(出所:シャープ)
完成した「シャープ富岡太陽光発電所」(出所:シャープ)
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 シャープと芙蓉総合リースは7月13日、両社の共同出資によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)が福島県内で初めて稼働したと発表した。両社による合弁会社クリスタル・クリア・ソーラーが福島県双葉郡富岡町で建設していた「シャープ富岡太陽光発電所」で、6月30日に商業運転を開始した。

 富岡町の所有する富岡工業団地内に設置した。シャープが太陽光パネルを供給するとともに、EPC(開発・設計・施工)サービスから運転保守・管理(O&M)まで担当する。太陽光パネルの出力は約2.19MWで、年間の想定発電量は238万kWh、663世帯分相当を見込む。パワーコンディショナー(PCS)は富士電機製を採用した。

 同町は現在、福島第1原発事故による放射性物質汚染の影響から、居住制限区域に指定されている。2015年7月9日更新された富岡町災害復興計画(第二次)では、「早ければ2017年4月の帰還開始を目指す」と明記された。

 同計画では、「エネルギーを中心とした産業によるまちづくり」を12の重点プロジェクトの1つに位置づけ、具体的には、(1)原子力に依存しない「新たなエネルギーの創出」、(2)売電益の一部を地域に還元、などを掲げている。福島第1原発から約11kmの工業団地の企業誘致の再開が見込みにくい中、メガソーラーを土地の有効活用を実現する産業モデルとして建設を進める。

 「シャープ富岡太陽光発電所」もその一環となる。富岡町が事業用地をクリスタル・クリア・ソーラーに貸与し、立地協定を結んだ。発電電力は東北電力に全量売電する。クリスタル・クリア・ソーラーは、発電後5年間で2500万円を売電収益から復興支援金として富岡町に還元する。事業期間の20年間に、富岡町には支援金のほか、借地料と固定資産税を加えて計1億1200万円の収益が見込まれる。