ユーザーがどこを見ているかを検出し、焦点(フォーカス)を自動補正する――。そんなコンタクトレンズを、ベルギーのエレクトロニクス研究機関IMECが開発中だ。2015年6月23~24日にブリュッセルで開催された「IMEC Technology Forum 2015」で、IMECのJelle De Snet氏が紹介した。
このコンタクトレンズは、極薄のフレキシブルレンズに、さまざまな電子部品を搭載したもの。光電変換を担う極薄液晶ディスプレーやマイコン、RFアンテナ、距離センサー、薄膜有機太陽電池、小型電池などだ。酸化物エレクトロニクスによるフレキシブル透明電極形成技術も活用する。2013年から開発中で、こうした要素技術が徐々にそろいつつあるという。IMECの最先端技術を総動員し、「すべての構成要素をフレキシブルな薄膜にする。食塩水中で保存しなければならないなど(コンタクトレンズならでは)の条件から挑戦的なテーマだが、数年後には完成させたい」(Snet氏)。
開発を担当するSnet氏はベルギーGhent大学Centre of Microelectronics Technology(IMECの関連組織)の研究員を兼務。スマートコンタクトレンズに関する研究で、2014年に同大学の博士号を取得した。
IMECは目下、“スマートリビング(smart living)”を目指した研究に力を入れており、スマートコンタクトレンズのようなヘルスケア関連の研究はその中心にある(関連記事)。