固定価格買取制度(FIT)の現在の契約主体(出所:経済産業省)
固定価格買取制度(FIT)の現在の契約主体(出所:経済産業省)
[画像のクリックで拡大表示]
小売り全面自由化後のFITの契約主体(出所:経済産業省)
小売り全面自由化後のFITの契約主体(出所:経済産業省)
[画像のクリックで拡大表示]

 経済産業省は7月7日、新エネルギー小委員会・買取制度運用ワーキンググループ(WG)を開催し、2016年4月の電力の小売り全面自由化に対応した固定価格買取制度(FIT)の運用見直しについて議論した。買取義務の規模指標を「最大需要」にすることで、実態上、旧一般電気事業者が契約締結を拒否できないという方向になりそうだ。
 
 焦点となったのは、小売り全面自由化に伴い、「一般電気事業者」と「新電力」というが事業者区分がなくなり、法律上、すべて「小売り電気事業者」となるなか、再生可能エネルギー電力の買取義務をどんな形で課すか、という論点だ。現状では、新電力に限って、電力需要の規模に着目した買取義務の例外規定がある。

 事務局(経産省)は、以下のような案を示した。買取義務を課される上限の出力規模(kW)の指標を、「最大電力需要(kW)」とし、それを超えた場合は買取契約(特定契約)の締結を拒否できるとし、小規模な小売り電気事業者については例外を設ける、というもの。そして、買取義務を免除される条件として、市場シェアや新規参入からの期間を例示した。

 最も太陽光発電の導入が進んでいる九州電力の場合、最大電力需要は1583万kW(2013年夏季)。設備認定は1831万kWに達しているが、接続申し込み量は1337kWで直近6カ月は、ほぼ横ばいとなっている。九電はすでに接続可能量(817万kW)を超える824万kWの接続承諾量になっており、無制限・無補償の出力制御が接続の条件になっている。

 「出力制御の増加による発電事業の収益低下を考慮すれば、接続申し込みが最大需要を超えることは考えにくい」(事務局)。形式上、「最大需要」が買取契約の上限になるものの、「実態上、買取契約を締結できないという状態は生じない」というのが事務局の見解だ。

 小売り全面自由化によっても、旧一般電気事業者の持つ最大電力需要は、当面、群を抜いて大きいと考えられる。2016年4月以降も、一般電気事業者が、FIT電源の「最後の買い手」となることに変わりなさそうだ。