大成建設・技術センター・ZEB実証棟(出所:大成建設)
大成建設・技術センター・ZEB実証棟(出所:大成建設)
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ZEB実証棟での年間エネルギー収支の結果(出所:大成建設)
ZEB実証棟での年間エネルギー収支の結果(出所:大成建設)
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 大成建設は6月30日、横浜市の実験棟を使い、太陽光発電を設置した建物単体で「年間エネルギー収支ゼロ」を達成したと発表した。技術センター(横浜市)に建設した「ZEB実証棟」(ZEB:ゼロ・エネルギー・ビル)(延べ床面積1277m2、地上3階)を使い、2014年6月から1年間運用したもの(関連記事)。

 「都市型ZEB」の実現に向けた今回の実証では、オフィスビルが集中する都市部に建設する建設物を、利用者の快適性を損なわずにZEB化することを目指した。建物のエネルギー消費量75%を削減する「超省エネ技術」と、残りのエネルギー消費量25%を賄う太陽光発電による「創エネ技術」を1年間、運用・実証した。

 その結果、エネルギー消費量が463MJ/m2/年、太陽光による発電量が493MJ/m2/年となり、「都市型ZEB」を目指した建物として国内で初めて「年間エネルギー収支ゼロ」を達成したという。

 また、今後の普及展開に向けた取組みとして、ZEB化実現のための計画・評価ツール「T-ZEBシミュレーター」を開発した。今回の実証で集積した様々なデータを解析に反映させることにより、ZEB化のための計画・評価や年間エネルギー収支の検討を従来よりも正確に短時間で行えるという。

 立地や周辺建物などの影響を考慮した太陽光・風力・地中熱などによる「創エネルギー量」と、計画建物に省エネルギー手法を導入した場合の「エネルギー消費量」とのエネルギー収支を様々なパターンで検討できるため、ZEB化の実現に向け、適切に提案できる。

 今後、同社では、ZEB化を実現する「超省エネ技術」と「創エネ技術」の更なる高機能化やコスト削減を進めるとともに、「T-ZEBシミュレーター」にコストを検討できる機能を付加して計画・評価技術を高度化するという。

 2020年には「市場性のあるZEBの実現」、2030年までに「ZEBの普及拡大」を目標として、都市部を含め全国で計画されているZEB化を目指した新築・既存の建物への提案活動を積極的に推進するとしている。