脳脊髄液の流速を定量化
脳脊髄液の流速を定量化
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 東芝は、造影剤を使わずにMRI(磁気共鳴断層撮影装置)で撮影した脳脊髄液の動画像から、脳脊髄液の流速を計測する技術を開発した(ニュースリリース)。認知症の原因の一つである特発性正常圧水頭症など、脳脊髄液が関与する疾患を効率よく診断できるようになるという。

 水頭症の診断技術としては、「Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)」と呼ぶ手法が知られている。脳脊髄液が体内を流れる様子(CSFダイナミクス)を、造影剤なしにMRIで可視化する技術である。従来、Time-SLIP法で得た動画像は医師が観察し、脳脊髄液の流速を視覚的に評価していた。この手法では脳脊髄液の流速を定量化することはできなかった。

 東芝は今回、東芝メディカルシステムズおよび東芝林間病院と共同で「CSFダイナミクス定量化技術」と呼ぶ手法を開発。Time-SLIP動画像の画素ごとの信号変化を解析し、脳脊髄液が存在する領域を自動抽出することで脳脊髄液の流速を算出する。

 この手法を、脳機能が正常な被験者の動画像データに適用。脳脊髄液が関与する疾患において医師が観察するポイントである「橋前槽領域」を対象として評価した。この結果、今回の技術で定量化した脳脊髄液の流速と、フレームごとに脳脊髄液の位置を手動で入力して算出した値との相関が0.91と高いことを確認できたという。