テクトロニクスは、「MIPI C-PHY」を用いたトランスミッター(送信IC)の特性評価を実施するテストツールを開発した(発表資料)。オシロスコープを利用したツールである。これにより、「C-PHY v1.0」を利用したカメラモジュールの開発や設計の解析やデバッグなどを実施できる。実際、C-PHY v1.0を採用した、米OmniVision Technologies社のスマートフォン向けカメラモジュール「OV23850」と「OV21840」の測定に使われたという。

 MIPIは、標準化団体「MIPI(Mobile Industry Processor Interface) Alliance」が策定した携帯機器内のデータ伝送の標準規格である。MIPIは物理層と論理層の2つに大別できる。物理層はなるべく共通のものを適用し、論理層にはカメラやディスプレー、移動通信、ストレージといった各用途に向けて専用プロトコルを用意する。

 物理層には、C-PHYの他、「D-PHY」と「M-PHY」の計3種類がある。いずれも、データ伝送モードに、データ伝送速度が高い「HS」モードと、データ伝送速度を抑えて消費電力を削減した「LS」モードの2つがある。

 D-PHYがMIPIの最初に登場した物理層で、現在、アプリケーションプロセッサーと、ディスプレーやカメラを接続する部分で多用されている。クロック信号をデータ線とは別に伝送する。データ線の数に規定はないが、典型的なのが、データ信号線4対(4レーン)と、クロック1対(1レーン)の計10本の信号線を利用する形態である。どちらも差動伝送である。

 近年カメラやディスプレーの画素数やフレーム周波数の増加にともない、D-PHYの1レーン当たりの最大データ伝送速度は、「v1.2」で2.5Gビット/秒にまで高められた。

 M-PHYは、D-PHYよりも高速な後継規格として、2011年6月にv1.0が策定された。現在の最新仕様はv3.1で、データ伝送速度は、差動伝送対1レーン当たりで最大5.8Gビット/秒と高い。高速化にともない、クロック信号をデータ信号に重畳して伝送するようになった。