テレビや光ディスクプレーヤー、パソコンといった電子機器に普及している機器間インターフェースのHDMI。2013年9月に「HDMI 2.0」の仕様が策定され、従来の「1.4」版とは大きく変わった。それに伴い認証試験(CTS:Compliance Test Specification)も変化した。HDMI 2.0の特徴やCTSの概要を、テクトロニクスが同社のイベント「テクトロニクス/ケースレー イノベーション・フォーラム2015」(TIF2015;2015年6月24日に東京で開催)で紹介した。

 HDMI 2.0の最大の特徴は、ケーブル1本当たりのデータ伝送速度を18Gビット/秒に引き上げたこと。これにより、50/60フレーム/秒の4K映像(2160p映像)を非圧縮で伝送できる。

 HDMIでは、データ信号線は3対の差動対で、データ信号線とは別に、クロック信号線を用意する。HDMI 2.0では、1対当たりの信号線を6Gビット/秒に高めた。

 HDMI 1.4までは、クロック周波数は、データ伝送速度の1/10だったという。しかし、2.0のデータ伝送速度だとEMIが問題になるので、クロック周波数をデータ伝送速度の1/40にした。3840×2160画素、60p、各色8ビット、YCbCr 4:4:4の映像信号を伝送する場合、1対当たりのデータ伝送速度は5.94Gビット/秒、クロック周波数は148.5MHzになる。ただし、このクロック周波数は、従来のHDMIで1920×1080画素の映像を伝送する場合と同じになり、区別がつきにくくなる。そこで、クロックを「Mcsc(Mega-characters/second/channel)」という単位で表示するようにした。前述の4K映像を伝送する場合は、594Mcscになる。

 HDMI 2.0では、クロックが340Mcscを超える場合は、EMIを抑制するために、データ信号にスクランブルをかけなくてはならない。

 HDMI 2.0からは、YCbCr 4:2:0の映像信号の伝送にも対応した。この色空間で、3840×2160画素、60p、各色8ビットを伝送する場合、データ信号線1対当たりのデータ伝送速度は2.97Gビット/秒になる。この速度であれば、HDMI 1.4対応のPHY(物理層)のままで、4K60pを伝送できる。

 HDMI 2.0ではこの他、1つのスクリーンに2つの映像を同時に伝送できる「デュアル表示」や、最大32チャンネルのオーディオ再生などにも対応した。加えて、CEC機能も拡張し、異なるメーカー間の機器でも、連動して動作させることができるようになったという。以前は、「●●●リンク」など、各メーカーが個別に機能を定義し、同一メーカーの製品でしか、CEC機能を通じて連動しなかった。