太陽光発電設備の認定量と導入量の推移(出所:経済産業省)
太陽光発電設備の認定量と導入量の推移(出所:経済産業省)
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 経済産業省は6月24日、新エネルギー小委員会の第12回会合を開催し、固定価買取制度(FIT)の見直しに向けた方向性を提示した。2030年の望ましい電源構成(ベストミックス)案が固まったことを受け、FITを規定する再生可能エネルギー特別措置法の改正も含めた制度の本格的な見直しに着手する。

 同委員会では、検討の視点として、3つを挙げた。(1)バランスの取れた再生可能エネルギーの導入推進、(2)再エネ拡大と国民負担の抑制の両立、(3)長期安定的に電力供給を担う、低コスト・自立電源化――
 
 (1)では、突出して拡大している太陽光の買取価格の設定方法と、ローカル系統の増強が論点になる。現行法では、「通常要する費用を基礎として」算定するため、大幅な引き下げには限界がある。ベストミックスの検討過程では、今後の太陽光の買取単価を22円/kWhと仮定して買取費用を試算しているが、ここまで引き下げるには法改正が必要になる可能性が高い。一部の委員からは、ドイツで導入または検討されている「フィードイン・プレミアム」や入札制度を検討すべきとの意見も出た。

 一方で、ローカル系統の制約から、接続申し込みに至らないケースが全国で増加している現状が示された。今後、電力会社との接続協議によって求められる系統接続費用(負担金)は増加していくことが予想される。ベストミックスで掲げた太陽光の64GWの導入量を実現するためには、どんな形でローカル系統の増強費用を負担していくべきかが検討課題となる。具体的には、広域的運用推進機関が接続案件を募集する仕組みが示された。

 (2)の国民負担の抑制に関しては、設備認定を得ながら工事に着手しない滞留案件の解消が検討テーマとして示された。特に2012年度の設備認定を得た10~50kW未満の低圧案件の運転開始率が60~70%に留まっていることが明らかにされた。こうした経産省による報告徴収や聴聞の対象外の滞留案件への対応も今後、議論になる。

 (3)の長期安定電源化に関しては、適切な施工と保守を促すため、自動車の車検のような制度的な対応が議論されそうだ。また、買取期間が終了した後に発電事業を継続するための系統接続ルールについて、「買取条件は民民契約が原則」「環境価値が発電事業者に残る」などの方向性が示された。同時に、自家消費の利点が大きくなること、蓄電池との併用による完全自家消費型(オフグリッドシステム)への移行も方向性の1つとされた。