蓄電池システムの設置イメージ(出所:三菱電機)
蓄電池システムの設置イメージ(出所:三菱電機)
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 三菱電機は6月22日、九州電力から世界最大級となる出力5万kW・定格容量30万kWh程度の蓄電池システムを受注したと発表した。九電の実施する「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」に活用するため、豊前発電所構内(福岡県豊前市)に、2015 年度内に設置する。

 揚水発電と同じように電力を貯蔵できる機能を持つ設備として活用する。特に太陽光発電設備で発生する余剰電力を吸収し、需給バランスを改善する効果を検証する。運転状況を適切に把握して多数の蓄電池をユニットごとに管理することで、蓄電池システム全体を効率的に制御し、運転効率を向上させることを目指す。

 具体的なシステムは、蓄電池の監視制御システム「BLEnDer RE」をベースに、日本ガイシ製のNAS電池(ナトリウム硫黄電池)、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製の定格800kWのパワーコンディショナー(PCS)63 台、三菱電機製の変圧器2 台(66/6.6kV)と受変電設備(6.6kV)から構成する。蓄電池システム全体の面積は、約100m×約140m(1万4000m2)となる。

 日本ガイシの新開発したコンテナ型NAS電池を採用した。20フィートコンテナ内に出力200kWのNAS電池と制御装置などを組み込み、可搬型にした。従来に比べ設置期間の短縮や工事費用を大幅に削減できるほか、用途に応じて効率的な容量で設置できるという。

 九州地方では、太陽光発電が急速に普及しており、ゴールデンウィークや夏季休暇など、昼間の軽負荷期には、需給バランスの維持が大きな課題になりつつある。今回の実証実験で、大容量の蓄電池システムを電力系統に接続し、揚水発電と同等の電力貯蔵機能を活用することで、需給バランスを改善する。