ドイツで開かれた産業機器の展示会「HANNOVER MESSE 2015」ではIndustry 4.0関連の展示が目立った。
ドイツで開かれた産業機器の展示会「HANNOVER MESSE 2015」ではIndustry 4.0関連の展示が目立った。
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HANNOVER MESSE 2015に参加したドイツのアンゲラ・メルケル首相(黄色いジャケットの女性)
HANNOVER MESSE 2015に参加したドイツのアンゲラ・メルケル首相(黄色いジャケットの女性)
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 ドイツの「Industry 4.0」や米国の「Industrial Internet(産業のインターネット)」に、日本の製造業はいかにして立ち向かうべきなのか──。

 2015年6月9日、経済産業省が公表した「2015年版ものづくり白書」。とりわけ印象的だったのは、世界で加速するものづくりの大きな変化に「日本が取り残されかねない」という強い危機感だった。

 センサー技術やコンピューティング能力の発達に伴い、ものづくりの世界でも、さまざまな機器をネットワーク化して運用効率や価値を高める「IoT(Internet of Things、もののインターネット)」やビッグデータ解析を通じた大きな変化が起きている。ドイツや米国が先導する、このような「ものづくりのビジネスモデル」そのものの変革に出遅れると「日本の製造業は競争力を喪失しかねない」と警鐘を鳴らした。

 同白書では、ドイツや米国を中心に起きているIoTを軸にしたものづくりの変化と日本の対応に多くのページを割いた。

 ドイツは2011年以降、Industry 4.0というキーワードを掲げ、国を挙げて、工場の生産機器をネットワーク化するなどして生産システムを高度化する「スマート工場」の取り組みを推進している。米General Electric社も航空機エンジンや産業機器をネットワーク化して、ソフトウエア解析の技術を活用し、機器の運用効率の向上や製品自体の改良につなげている。同白書は「日経ビジネス」2014年12月22日号の特集「ものづくりの未来を変える GEの破壊力」にも触れ、こうした動きを詳しく分析した。