円筒形のRFユニット
円筒形のRFユニット
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RFユニットの設置シーン
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多素子アンテナのメリット
多素子アンテナのメリット
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NTTドコモと実験中の多素子アンテナの諸元
NTTドコモと実験中の多素子アンテナの諸元
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 NECは無線技術の展示会「WTP2015」(2015年5月27~29日、東京ビッグサイト)でLTE-Advanced向けの多素子アンテナ技術を披露している。2014年後半から、様々な展示会で技術展示は行っていたが、今回、利用シーンに踏み込んだ展示をしている点が新しかった。

 NECの多素子アンテナ技術とは、アンテナ素子を多数並べることで、電波の放射方向を制御するもの。複数のビームを同時に制御できるため、空間的に離れた位置にいる端末に対して、同時に通信(空間多重通信)を行うことができる。いわゆる、MU-MIMO(Multi-user MIMO)である。また、ビームを絞ることで他の基地局や無線システムとの干渉を避けられるというメリットもある。

 従来の展示では、128素子(縦8×横8×2偏波)の構成のRFユニットを展示していたが、今回の展示では、32素子(縦4×横4×2偏波)のアンテナモジュールを円筒形の筐体内に複数搭載するRFユニットのモックアップを展示した。この円筒形のRFユニットは街路灯などのポールにつけることを想定したものだという。実際、モックアップの円筒の内側には、ポールに通せるように円筒形の空洞部がある。

 このアンテナモジュールは円筒の筐体だけでなく、箱型の筐体にも格納できる。こちらは、壁や天井に付けることを想定したものだ。「(このRFユニットは)2020年頃の実用化を目指しているが、その頃には、場所があればとにかくアンテナを設置するという、小セル化がいっそう進んだ時代になるだろう。それを先取りした設計にした」(説明員)という。

 今回のRFユニットは、光ファイバーを介して、ベースバンドユニットに収納する構成を採る。中心周波数帯としては5.2GHz、100MHzの帯域を想定しているという。