米Intel社は、FPGAメーカー大手の米Altera社を現金167億米ドルで買収すると発表した(参照記事)。Altera社が提示価格に不満を示して、一度破談を報じられたが、一転しての合意となった。1株当たり54米ドルという買収金額は、この3月に両社の交渉が初めて報じられた3月27日前日の株価34.58米ドルよりも56%高い。かなり高評価での買収である。

 今回の提携話が3月に明らかになった時、多くの業界アナリストは、比較的冷ややかな見方をしていた。パソコン向けマイクロプロセッサー市場に比べてFPGAの市場規模が小さく、噂される買収金額の割に売上高が少ないと見たからだ。確かに、過去また現時点での売り上げだけで見れば、そのような評価も当然である。しかし最近のFPGAの応用の急拡大を見ると、今回の買収は、決して“王様のお戯れ”などではないことが分かる。

図1●Altera社の「Stratix 10」
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 過去に組み込みシステムのいち部品に過ぎなかったFPGAは、今や今後の電子産業全体をけん引する可能性を秘めたチップになった(図1)。一説では、仮に今回の買収交渉が不調に終わった場合、Intel社は敵対的買収も視野に入れていたという。Intel社にとっては、生き残りを掛けてなりふり構わず仕掛けた大戦略なのだ。