パートナーデイに登壇した、シバントス代表取締役社長のBernd Weber氏
パートナーデイに登壇した、シバントス代表取締役社長のBernd Weber氏
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発売したbinaxシリーズの耳あな型
発売したbinaxシリーズの耳あな型
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両耳の補聴器間で音声信号を交換
両耳の補聴器間で音声信号を交換
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 補聴器大手Sivantos社の日本法人であるシバントス(通称:シーメンス補聴器)は2015年5月28日、東京都内で販売店などに向ける「パートナーデイ」を開催。同年5月26日に日本で発売した、高性能IC搭載の補聴器「binax(バイナックス)」シリーズの新製品群を紹介した。2014年11月に同シリーズのRIC(receiver in the canal)型を先行発売しており、今回は「耳あな型」「耳かけ型」「RIC型の普及価格帯版」を追加した。

 Sivantos社は、ドイツSiemens社の補聴器部門が独立して2015年1月に誕生した企業である。発売したbinaxシリーズは「スパコン並み(に高性能)のICを内蔵した」(同社)旗艦モデル。片耳ではなく、両耳に装着することでより高い性能を引きだせるように設計した点が大きな特徴だ。内蔵するICの処理性能の高さを生かし、今回発売した耳あな型の一部モデルでは、業界初の「ワンマイク指向性」を実現した。

マイク個数を仮想的に倍増

 ワンマイク指向性とは、前方にいる人の声にフォーカスして他の音は抑える(ビーム)指向性を、マイクを1個のみ搭載した補聴器を両耳に装着することで実現することを指す。この機能を搭載したモデルでは、前方60度の音にフォーカスし、残り300度分の音は抑える。従来、指向性を得るには両耳に装着する補聴器のそれぞれに複数のマイクを搭載する必要があり、そのため耳あな型のような小型補聴器で指向性を得ることは難しかった。

 今回、ワンマイク指向性を実現できたのは、両耳に装着する補聴器の間で、音声信号を高速に無線通信することを可能にしたためだ。補聴器間では、これまではもっぱら音量などの制御用信号を通信していた。IC性能を高めたことで、それぞれの補聴器がとらえた音声信号そのものを交換することが可能になった形だ。これにより、仮想的に1つの補聴器に2個のマイクが搭載されたような状態を生み出し、指向性を得る。

 販売価格(片耳分)は、耳あな型と耳かけ型では48チャネル品「7bx」が47万円、32チャネル品「5bx」が33万円、24チャネル品「3bx」が24万円。普及価格帯版として発売したRIC型の24チャネル品「3bx」が24万円。ワンマイク指向性を搭載したのは、耳あな型の一部モデルの48チャネル品である。