民主党の目標。単なる現状の追認ではなく、原発事故を踏まえた「パラダイムシフト」と位置付ける(出所:民主党)
民主党の目標。単なる現状の追認ではなく、原発事故を踏まえた「パラダイムシフト」と位置付ける(出所:民主党)
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2030年における再エネ導入・CO2削減目標の比較。CO2削減目標(2005年比)は、民主党目標とEU・米国目標が同じ水準となる(出所:民主党)
2030年における再エネ導入・CO2削減目標の比較。CO2削減目標(2005年比)は、民主党目標とEU・米国目標が同じ水準となる(出所:民主党)
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 民主党は5月12日、「次の内閣」会議を国会内で開き、党エネルギー総合調査会(会長・直嶋正行参院議員)が取りまとめた「エネルギーミックス目標 温室効果ガス削減目標 中間まとめ」を了承した。中間まとめでは、目標として、「2030年代に原発稼働ゼロ、2030年に再生可能エネルギー30%以上導入」などを掲げた。

 中間まとめでは、「政府案は、短期的コストを優先したものだ」とその問題点も指摘。 再エネの導入可能量については30%以上(政府案では22~24%)、温室効果ガスについては90年比でマイナス30%(政府案はマイナス16~18%)を掲げ、「2030年、再エネ30%以上、CO2削減率30%」を示す「30・30・30(サーティー・サーティー・サーティー)」を打ち出した。

 「再エネは、買取期間終了後には、安価な国産エネルギーになる」とし、具体的なソフト面の対策として、(1)系統運用の見直し(特に系統の広域融通による一体運用)、(2)需要側との連携(需要の能動化、デマンド・レスポンスなど)、(3)廃炉原発インフラ(送電網・揚水発電など)の活用、(4)固定価格買取制度(FIT)の改善(経済合理性とともに、採算性・予測可能性への配慮)、(5)再エネ発電量予測技術の向上、(6)地熱発電開発のための調査・合意形成を国費で支援、(7)研究開発(蓄電池低コスト化など)、(8)電源構成開示義務化――。

 ハード面の対策として、(1)分散型エネルギー社会へのインフラ整備(地内・地域間連系線、熱供給網の整備)、(2)変動電源の安定化対策(系統側への大型蓄電池設置など)――を挙げた。また、規制改革として、再エネ導入の壁となっている規制・手続の解消(調整・議論の場の設定)、「分散型エネルギー推進法」を制定し、地産地消型の再エネ導入を推進することも掲げた。

 また、FIT改革の方向性として、以下を挙げた。(1)再エネ導入目標(全体・種類別・規模別)の法定、(2)地産地消・分散型再エネがさらに普及する制度の構築、(3)太陽光発電の買取価格を規模別に細分化、価格変更の頻度・買取期間の適正化、(4)火力発電などのバックアップ電源への支援、(5)情報公開の徹底、(6)系統接続に関する紛争(苦情)処理制度・手続の法定、(7)賦課金制度の見直し、(8)再エネで復興を目指す福島への特別な配慮、(9)系統強化、地域間連系線ルール見直しなど――。