インリー製パネルを設置したメガソーラーの例(出所:インリー・グリーンエナジー・ホールディング)
インリー製パネルを設置したメガソーラーの例(出所:インリー・グリーンエナジー・ホールディング)
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 中国の太陽光パネルメーカー大手であるインリー・グリーンエナジー・ホールディングは5月20日、「事業の継続性に関する報道についての見解(Yingli Green Energy Responds to Media Coverage of Its Ability as a Going Concern)」を発表した。

 インリーは、世界ランキングでは、2013年はトップ、2014年はトリナ・ソーラーに次ぐ2位となっている。2014年は、3年ぶりの黒字化を目指していたものの、約2億2580万米ドルの純損失となった。2014年は、過去最高となる出力3.3GWの太陽光パネルの出荷を達成し、営業利益率は2013年の10.9%から17.3%に改善していた。

 しかし、5月15日に発表した、2014年のアニュアル・レポート(年次報告書)において、「実質的な債務(substantial indebtedness)が、グループの事業、財政状態、経営成績だけでなく、債務の支払義務を満たすための当社の能力に影響を与える可能性がある」と、監査法人による分析に基づいたとする、事業運営の継続性に関して疑念があるとする内容(substantial doubt as to the Company's ability to continue as a going concern)を明らかにしていた。

 この対応策として、新たな資本の導入などを模索するとしている。

 同社は、2014年末時点で、約4.6億米ドルの長期債務、約2.8億米ドルの中期債務、約16億米ドルの短期借入金を抱えている。このうち、中期債務については、返済のめどがついていると公表していた。

 このアニュアル・レポートの内容を受け、週明けの5月19日に、米国の大手メディアを中心に、事業の継続性に疑念を表する記事の掲載が相次いだ。こうした報道に対して、インリーが見解を表明したもの。

 インリーによると、いくつかの報道は、特定の文脈を強調して解釈されたものだとする。アニュアル・レポートに記した内容は、インリーが直面するリスクと課題に加え、こうしたリスクと課題を軽減するための対策も示した、と強調している。

 その上で、太陽光発電市場に製品やサービスを供給し続けるための能力に自信を持っているとする。

 Liansheng Miao会長 兼 最高経営責任者(CEO)によるコメントとして、「10月13日に期限を迎える、10億元(約195億円)の中期債務の返済を実行できると信じている。われわれの返済義務は、予定の日程通りに返済できるように資金を確保できている」としているが、合計約20億米ドルの長短借入金の返済のめどについては、触れられていない。