激変緩和措置案のイメージ。「対応案B−1」が事務局の推奨案。2020年度ごろをめどに、既存の案件も新たな回避可能費用の算定ルールに移行する(出所:経済産業省)
激変緩和措置案のイメージ。「対応案B−1」が事務局の推奨案。2020年度ごろをめどに、既存の案件も新たな回避可能費用の算定ルールに移行する(出所:経済産業省)
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 経済産業省は5月18日、新エネルギー小委員会・買取制度運用ワーキンググループ(WG)の第6回会合を開催した。市場価格に連動した「回避可能費用」の適用を、これまでの案件にも遡及することを基本としつつ、5年程度の激変緩和措置を設け、一定期間、適用を猶予する方向となった。

 回避可能費用が、市場連動に変わった場合、固定価格買取制度(FIT)に基づく再生可能エネルギーの購入単価の変動幅が大きくなる可能性があるなど、再エネを多く購入・販売する新電力にとって影響が大きい。原発の停止などで日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が高めに推移している現状では、再エネの仕入れコストが上昇する可能性が高い。激変緩和措置によって5年程度、現状の回避可能費用を適用されることになれば、再エネを主体とした新電力への影響も緩和されそうだ。

 同WGでは、電力の小売り全面自由化後における再エネの「回避可能費用」の算定方法について検討してきた(関連記事)。回避可能費用とは、再エネの電力としての価値を評価したもので、再エネ電力を買い取った電気小売り事業者は、交付金から回避可能費用を差し引いた額を受け取る。現在、太陽光発電については、火力発電所の燃料節約効果などから算定し、固定値を適用している。

 第4回会合で、回避可能費用の単価を市場価格と連動した算定方法に変更することについては了承された。その上で、第5回会合では、算定に使う市場価格として、「スポット市場価格と1時間前市場価格の加重平均」とし、「30分ごとの価格」という事務局案が示された。これに関しては、委員の多数が同調したものの、既存の算定ルールで再エネを購入して小売りしている新電力などの経営に影響が大きいことから、激変緩和措置の必要性が提起され、結論が出ていなかった。

 第6回会合では、事務局から、「当面の間、例えば、5年程度、現状の回避可能費用を適用する」という案が示され、委員全員の了承を得た。