3つの運用パターン。上が平常時に深夜電力を充電して活用し電気代を節約する運用パターン。中が出力抑制(出力制御)時の運用パターン。下が災害時の運用パターン。(出所:積水ハウス)
3つの運用パターン。上が平常時に深夜電力を充電して活用し電気代を節約する運用パターン。中が出力抑制(出力制御)時の運用パターン。下が災害時の運用パターン。(出所:積水ハウス)
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 積水ハウスは5月14日、太陽光発電の出力抑制(出力制御)に対応した住宅「グリーンファースト 蓄電スタイル」の販売を開始したと発表した。出力抑制対応型の蓄電池システムを備えた戸建て住宅を住宅メーカーが発売するのは初めてという。

 太陽光発電用と蓄電池用のパワーコンディショナー(PCS)を一体化した「太陽光パワコン一体型蓄電システム」を搭載する。電力会社による出力制御によって売電できなくなる太陽光発電の余剰電力を、自動的に蓄電して有効利用できる。

 電力会社が太陽光発電の出力を抑制する場合、インターネット経由で前日に通知することになっている。「太陽光パワコン一体型蓄電システム」が通知を受け取ると、自動で運用モードを切り替え、蓄電池を空けて抑制時の余剰電力を蓄える。

 太陽光発電システムとして通常、設置されるPCSが不要になるため、太陽光と蓄電池のPCSを個別に導入する場合に比べ、システムコストが割安になる利点もある。

 蓄電池容量4.8kWhの場合、太陽光の余剰電力を2.0kWで自動充電し、停電時にはAC100Vで1.5kWの出力が可能。補助金などを考慮すれば、蓄電池の実質的な導入費用は58万円からになる。

 出力抑制への対応のほか、平常時は深夜の安い電力を蓄えて料金単価の高い時間帯に放電して、電気代を節約するほか、地震や異常気象などによる停電に対しても、太陽光発電と蓄電池によって、最低限の電気を自給できる。燃料電池システムを含めた、太陽電池と蓄電池の「3電池システム」の構成にすれば、非常時でも普段に近い電力需要を自立して賄えるという。

 2015年1月に施行された固定価格買取制度(FIT)のルール変更に伴い、東京電力・中部電力・関西電力管内を除き、住宅用太陽光に対しても今年4月から出力抑制の対象となった。太陽光発電の接続申し込みが接続可能量に達した北海道電力・東北電力・九州電力では「無制限・無補償」の出力制御が接続条件となっている。