米Qualcomm社Executive ChairmanのPaul Jacobs氏
米Qualcomm社Executive ChairmanのPaul Jacobs氏
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 移動通信の未来を一番よく知る人物。そのうちの1人が、米Qualcomm社の元CEOで現在、Executive Chairmanを務めるPaul Jacobs氏だ。現在、同社において、新しい技術とビジネス機会開拓の先導役を務める。同氏は2015年5月13日、世界のマスメディアを集めたイベント「Qualcomm Editors Week」で登壇し、現在手がけているビッグプロジェクトについて語った。

 同氏が精力的に取り組んでいると語ったプロジェクトは2つある。1つは通信衛星で移動基地局のバックホールを作るというもの。もう1つはセキュリティーや情報の管理をシンプルにする取り組みだ。

 衛星通信を移動通信のバックホールに使うプロジェクトは、基地局は地上に置き、移動通信網のセンター局とつなぐ部分を衛星通信に担わせるというものだ。新興国や現在、移動通信がカバーしていないような過疎地などにこうした基地局を置くことで、誰でも、どこでもインターネットにアクセスできるようにするという。「ユーザーはLTEあるいは(無線LANで使用されているようなアンライセンスバンドを使ったLTEの通信方式である)LTE-U、Wi-Fiといった普通の通信機を備えたスマートフォンやタブレット端末で通信ができる」(Jacobs氏)。これまで、衛星通信で直接ブロードバンド通信を提供しようという試みはあったが、「端末は大きく、アンテナも大きく、コストも高いものだった」(同氏)。この仕組みなら、現行の安価な端末がそのまま使えるというわけだ。

 2018年~2019年ごろに衛星を打ち上げるべく動いているという。「大量の衛星を打ち上げるビッグプロジェクトだ」としたが、衛星をどの高度にどのように打ち上げるか、など詳細は明かさなかった。