「渋滞予想にインフラ投資は不要だ」--。こう語るのは芝浦工業大学システム理工学部教授の伊東敏夫氏である。同氏は、運転者の操作を観察することで渋滞を予測する手法を開発した(図1、ニュースリリース)。道路にカメラなどを設置する現在の方法と比べ、既存の車載センサーを活用するだけで実現できるため、安価でインフラに依存しないといった利点がある。実用化の時期は未定。

図1 芝浦工業大学システム理工学部教授の伊東敏夫氏
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 交通渋滞による損失は世界で重大な問題になっており、日本国内だけでも時間損失にして年間38億時間(国民一人当たり年間30時間)、経済損失にして11.6兆円の損失が発生しているといわれる。渋滞予防はそれだけ喫緊の課題となっている。現在、渋滞を予測するシステムにVICS(道路交通情報通信システム)があるが、これは道路上に設けた定点カメラで渋滞情報を観測するもので、一部の主要幹線道路や高速道路のみに設置が限られている。そのため、インフラに依存せず、車両から得られる情報のみで情報を予測し、回避するシステムの開発が求められていた。