ホンダは2015年4月23日、米国デトロイトで開催された「SAE 2015 World Congress and Exhibition」の夕食会で、新型「Acura NSX」の技術詳細を発表した。排気量3.5L・V型6気筒エンジンを搭載したスポーツカーの新型Acura NSXは、マルチマテリアルを使用したスペースフレーム、自動車で初めて採用したアブレーション鋳造技術、ユニークなエアフロー管理システムなどの新技術を採用している。

新型「Acura NSX」
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 マルチマテリアルのスペースフレームは、Acuraモデルでは初採用となる。初代NSXは総アルミニウム合金製モノコックボディだったが、今回はアルミニウム合金を多用しつつ超高強度鋼を集中的に使い剛性を高めた。設計時に総アルミボディ、CFRPモノコック、スペースフレーム構造の3種類のデザインを比較検討し、最終的に軽量でありながら剛性が高く、ハイブリッドパワートレーンを搭載しやすいマルチマテリアルのスペースフレーム構造を採用した。

マルチマテリアルのスペースフレーム
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 新型NSXは剛性を高める重要な部分にアブレーション鋳造という新技術を採用することで、クラッシュゾーンの設計を容易にすることができたという。アブレーション鋳造技術は、従来の鋳造法に急速冷却技術を組み合わせたもの。エネルギー吸収特性を持つ押出材料との組み合わせにより、剛性の高いフレーム構造が実現可能となる。従来の鋳造方法は高い剛性を得られる反面、脆かったが、アブレーション鋳造はそうした課題を解決した。

アブレーション鋳造による節点
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 アブレーション鋳造による部品は、クラッシュゾーン内でアルミ材料用の大きな節点や接触点として機能する。アルミ押出材がアブレーション鋳造の節点にあるソケットに挿入され、溶接時にスペースフレームを保持する固定具として機能する。溶接工程ではステッチ溶接の採用により、製造工程中の熱変形を低減し、スペースフレームの寸法精度を高めた。

サスペンション回りのアブレーション鋳造部品
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