堅調なアナログ半導体業界で、飛び抜けた業績の成長と40%超という極めて高い営業利益率を誇る米Linear Technology社。日経BP半導体リサーチは同社のCEOや各種事業責任者を取材し、同社の強さの源に迫った。連載2回目の今回は、長期的視点で企画された製品に着目する(連載1回目へのリンク)。

Linear Technology社Chief Exective Officer(CEO)のLothar Maier氏

 Linear Technology社トップや事業責任者からよく出てくる言葉がある。それは、「長い期間にわたり売れるものを開発する」ということだ。「売り始めてから10年、15年、20年という製品も珍しくない。長期間売ることを考えているので、才能ある人材を確保したり、リソースを開発に振り向けたりできる」(同社Chief Exective Officer(CEO)のLothar Maier氏)。長期間販売できる製品なので「短期での投資回収ができないことを嘆いてはいけない」(同社Vice President and General Manager, Power ProductsのDonald E. Paulus氏)という。同氏によれば、製品を市場投入してから5~7年後に開発投資を回収して利益を生み出す事例が多いとする。だからこそ、「我々は他の半導体メーカーに比べると、ユニークな存在だ。独特の考えや時間感で事業を進める当社に、他社が追随するのは容易ではない」(Paulus氏)。
Linear Technology社Vice President and General Manager, Power ProductsのDonald E. Paulus氏


 連載1回目で触れたように、Linear Technology社は顧客との距離を縮めることで、顧客が今後遭遇するであろう問題を抽出することに注力している。その上で、解決するためのアイデアを次々に出し、長く続くであろう最良の方法を見つけ出すという。選択したアイデアが、「誰もやったこともない手法になるケースばかりだ。だからこそ、先行できるし、よく考えた上での判断なので長く続く技術になる」(Paulus氏)。

 長期間にわたり売れる製品とはいかなるものであり、どのように選定しているのであろうか。同社のいくつかの事例に着目し、その実態に迫ってみよう。