開発したウエアラブル電極布(左:外装面、右:電極面)
開発したウエアラブル電極布(左:外装面、右:電極面)
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計測のイメージ
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 帝人グループの帝健は、京都大学医学部附属病院医療情報企画部、公益財団法人京都高度技術研究所(ASTEM)との共同研究により、着用するだけで12誘導心電の迅速・適切な計測ができるウエアラブル電極布を開発した。

 帝健は健康・安全・防災製品関連の高機能繊維製品を扱う。今回の電極布は、精密な心電計測が求められる12誘導心電のために開発されたもので、12誘導心電の計測に必要とされる10個の電極のうち、8個を配置した帯状のe-テキスタイル(電気回路を持つ布)となっている。

 この電極布では、連続した1本の緯糸(よこいと)で複雑な模様を織りなす西陣織の技法を採用。これにより、1本の導電糸を電極・導線とした心電計測布を工業的・安定的に生産することが可能となった。

 12誘導心電は、10個の電極を身体各部の正しい位置に取り付けることが条件となる。このため、迅速さが求められる救急現場での計測は困難とされ、現状では広く普及していないという。そうした中、今回のウエアラブル電極布の開発では、京都大学医学部附属病院医療情報企画部の黒田知宏教授による医療情報学の知見と帝健のノウハウとの組み合わせにより、産学連携を推し進めた。

 この共同研究は、「平成26年度医工連携事業化推進事業(総合特区推進調整費)」として、経済産業省近畿経済産業局に採択済み。帝健では2015年内に救急搬送時用として心電計測ウエアラブル電極布を商品化する計画だ。