図1 大規模データリンクオプションを使い、選択要素だけを活動化した状態。
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図2 周辺部品を活動化する設定画面。
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図3 周辺部品を活動化した結果(図3の設定後の結果)。
図3 周辺部品を活動化した結果(図3の設定後の結果)。
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図4 大規模データリンクオプションの効果。
図4 大規模データリンクオプションの効果。
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 ラティス・テクノロジー(本社東京)は、軽量3Dデータ形式「XVL」を使ったデジタル・モックアップ(DMU)ツール「XVL Studio」のオプション機能として、大容量データの読み込みや保存に要する時間を短縮できる「大規模データリンクオプション」を開発した(ニュースリリース)。形状情報と構成情報を別ファイル化することで、作業で使わない形状情報の読み込みや、変更が加わっていない形状情報の保存を不要にした。2015年4月20日から販売を開始する。

 XVLは、3D-CADデータを数百分の1に軽量化できるため、デザインレビューや工程設計、イラスト作成といった用途における3Dデータとして活用されている。例えば、マニュアルなどで使用されるイラストの作成では、XVL Studioでアセンブリの3Dモデルを分解したり特定の視点を設定したりしながら、数百から数千のイラストに対応したスナップショットとして記録する。

 このようにXVL Studioでは基本的に形状情報そのものには変更が加わらず、見え方や状態の違い、部品間の関係といった情報を編集するため、作業を開始する際や編集途中のバックアップを作成する際に全ての形状情報を読み込んだり保存したりする必要はない。特に、自動車や航空機、造船、列車といった部品点数が大きな製品では軽量化後のXVLでも数百Mバイトになる場合があり、読み込みや保存時間の短縮が望まれていた。近年では仕向地別などのバリエーションの違いを1つのXVLファイルで管理するような使い方も増えており、その傾向に拍車がかかっているという。

 大規模データリンクオプションでは、「形状参照リンク」という新しいデータ構造を採用する。このデータ構造では、XVL Studioの直接的な編集対象となるのは、構成情報やスナップショットの情報などだけが含まれたファイル。3Dの形状情報(3Dモデル)は別ファイルとして存在しておき、XVL Studioで編集作業する際に必要に応じて形状情報を読み込んで表示(活動化)する(図1)。読み込みの単位は、部品単体やサブアセンブリなど構成ツリーの任意の階層で実行可能で、スナップショットを指定した場合には関連する3Dモデルが全て活動化される。ある特定の部品の近くにある部品(周辺部品)だけを活動化する機能も用意した(図2、図3)。

 このような方式では最初にファイルを読み込む際や編集結果を保存する際には形状情報が含まれていないため、これらの処理が短時間で済む。例えば、約250MバイトのXVLファイル(自動車1車型分)と約580MバイトのXVLファイル(同2車型分)で同社が比較したところ、扱うファイルサイズは1.2Mバイトと2.5Mバイトと小さくなった。これに伴い、読み込み時間は前者で26.2秒から6.0秒(約1/4)に、後者では54.9秒が7.0秒(約1/8)に、保存時間は前者が100.6秒から1.1秒(約1/91)に、後者が271.6秒から2.3秒(約1/118)に大幅に短縮された(図4)。