回避可能費用の算定方法を見直した後の適用範囲のイメージ(出所:経済産業省)
回避可能費用の算定方法を見直した後の適用範囲のイメージ(出所:経済産業省)
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 経済産業省は3月31日、新エネルギー小委員会・買取制度運用ワーキンググループ(WG)の第5回会合を開催した。市場価格に連動した「回避可能費用」の適用を、これまでの案件に遡及して適用するか否かについては、委員の意見が分かれた。

 同WGでは、電力の小売り全面自由化後における再生可能エネルギーの「回避可能費用」の算定方法について検討している(関連記事)。回避可能費用とは、再エネの電力としての価値を評価したもので、再エネ電力を買い取った小売り電気事業者は、交付金から回避可能費用を差し引いた額を受け取る。現在、太陽光発電については、火力発電所の燃料節約効果などから算定し、固定値を適用している。

 回避可能費用が市場価格と連動した場合、再エネの調達コストが常に変動して予測しにくくなるため、再エネ電力を販売する事業リスクが高まる。原発停止で、電力卸市場の価格が高値で推移している現状では、回避可能費用の上昇で交付金が減り、再エネの調達価格が上がることになる。電力の販売価格に転嫁できない場合、小売り事業者の収益性が悪化する。法定の買い取り価格に1~2円を上乗せする「プレミアム買い取り」は、継続が難しくなる可能性もある。

 第4回会合で、回避可能費用の単価を市場価格と連動した算定方法に変更することについては了承された。その上で、第5回会合では、算定に使う市場価格として、「スポット市場価格と1時間前市場価格の加重平均」とし、「30分ごとの価格」という事務局案が示された。これに関しては、委員の多数が同調したものの、オブザーバーとして参加した関係者の間では、スポット市場価格だけで算定する方式を推す意見が多数を占めた。

 回避可能費用を見直した後、「経過措置」を設けるか否かに関しても意見が分かれた。経過措置を設けない場合は、「市場ベースの新たな算定方法をすべての案件に遡及して適用する」(図の対応案A)、経過措置を設けた場合は、「新ルール施行前の案件には遡及せず、旧算定方式を適用する」(図の対応案B)という違いになる。