3月17~19日に中国・上海で開催されたディスプレー関連の展示会「FPD China 2015」を、この分野に詳しい技術者に見学、報告してもらった。著者の松枝洋二郎氏は、中国Tianma Micro-electronics社(天馬微電子)と協業関係にあるNLTテクノロジ―に所属するフラットパネルディスプレー(FPD)の第一線の技術者である。中国では、技術的に難易度が高いと言われる高精細パネルの生産が本格化しつつある。多くの中国パネルメーカーの中でも天馬は、モバイル機器用の小型高精細の低温多結晶Si(LTPS)パネル生産で先行する企業の1つとして注目を集めている。以降では、松枝氏が技術指導を行う天馬の展示品について自ら解説するとともに、FPD China 2015で同氏が注目した展示についてレポートする。(田中 直樹=日経エレクトロニクス)

 2015年3月17~19日の3日間にわたり、ディスプレー関連の展示会「FPD China 2015」が上海新国際博覧中心(Shanghai New International Expo Centre)で開催された。今回初めて筆者はFPD Chinaに参加したので、その印象について報告する。

 上海新国際博覧中心は上海浦東国際空港からリニアモーターカーでわずか8分という抜群のアクセスの良さが特徴で、数多くの国際イベントが開催されているアジア最大の展示会場である。ちなみに日本のアニメ通の通訳者の話では、中国最大のアニメフェスタもここで開催され、「進撃の巨人」などの日本アニメのキャラクターの衣装をまとったコスプレ参加者たちでごった返すそうである。

FPD China 2015が開催された上海新国際博覧中心の入口
人が殺到しないように列を制限するための金属製の仕切りが物々しい。誰でも名刺を渡して必要事項を記入すれば無料で入れるし、パンフレットももらえるのだが、会場の外で入場証とパンフレットを売っているダフ屋のおばさんがいた。
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会場の配置図面
上海新国際博覧中心はとにかく広い(総展示面積は20万m2で、幕張メッセの約3倍)。今回は17個の会場のうち「W1」~「W5」の5つの会場を使って「Semicon China 2015」が開催されており、そのうちのW1会場を用いてFPD Chinaが同時開催された。
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FPD China 2015が開催された建物「W1」棟の入口
広場の向かい側にある展示会場まではあまりに遠いので、とても歩いていく気がしない。とにかく広い。
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